理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP179
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調査・統計
理学療法士の就労と教育
学生の実態と養成校の対策
*辻本 純子幸田 利敬助川 明
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キーワード: 学生, 就職条件, 自己成長
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抄録
【はじめに】理学療法士(以下、PT)の就労と教育を取り巻く環境は、社会情勢や養成校急増などにより、大きく変革の時を迎えている。平成14年のPT実数は33000人を超え、今後も急速な増加傾向にある。この現状に対し、PT協会は生涯学習システムガイドラインにおいてPTの質の維持・向上、専門職としての意識の向上・自己啓発を提言している。これらは、卒前のPT学生においての課題でもある。そこで今回、臨床総合実習を終了した学生を対象に、就労に対する意識調査を行い、実態を明らかにした上で養成校としての在り方について考えた。【対象と方法】臨床総合実習を終了した当校理学療法学科3年生30名(男性13人、女性17人、年齢24.0歳±4.14歳)に対し、無記名によるアンケートを行った。就労に関して必要と考える条件について、自由記載による回答を求めた。その中で複数回答のあった19項目について、優先順に5つ選択させた。【結果】選択された項目で最も多かったのは『職場の人間関係がよい』が26人(86%)であり、次いで、『新人教育制度が充実』19人(63%)、『施設の対象疾患』18人(60%)、『上司の人柄』16人(53%)、『施設の所在地』15人(50%)、『給与が良い』14人(46%)、『PT経験年数が長い人がいる』9人(30%)、『科内勉強会がある』7人(23%)、『休暇が多い』6人(20%)、『実習先である』『福利厚生が整っている』5人(16%)、『施設の規模が大きい』4人(13%)、『学会への参加が積極的』2人(6%)、『残業手当がある』『施設の職員数が多い』『学校の先輩がいる』『残業が無い』1人(3%)、『施設の規模が小さい』『託児所がある』は0人であった。また、第1位に選んだ項目は『職場の人間関係がよい』12人(40%)、『施設の対象疾患』7人(23%)、『施設の所在地』4人(13%)、『上司の人柄』3人(10%)、『新人教育制度が充実』3人(10%)、『給与が良い』1人(3%)、他は0人であった。【考察】学生の就労における条件は、『職場の人間関係がよい』ことが最も重要であり、約半数の者が必要と答えていた。また、『上司の人柄』も重要視しており、学生の意識が主に人間関係にあることがわかる。これは、対人関係の苦手意識や新しい環境への漠然とした「不安」の表れと推察できる。そして、『新人教育制度が充実』は、6割以上が必要条件としていた。他の項目を見ても、自ら学ぶというような、職業人としての自覚に関しては乏しく、指導に対する受身的な態度の現れであると考えられる。就職に関しては、個人の生活や考えに基づいて決定していくものではあるが、個人の要望と心身の安楽を求めると、これからの厳しい需給関係に対応していくことはできない。免許を保有しているだけではなく、期待され選ばれる付加価値を持った理学療法士を目指さなくてはならない。 養成校としては、学生の持つ「不安要素」や卒後教育についての具体的な方策が必要である。今後は専門職としての自覚と自己成長の意識を促すとともに、職場環境についても検討を重ねる必要を感じる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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