理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: QP178
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調査・統計
高齢者に対する大学生の態度
*光村 実香森島 利幸荻原 新八郎
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キーワード: 高齢者, 大学生, 態度
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抄録
【はじめに】我が国では高齢社会が進み,それに伴い高齢者に関する情報も増え,人々の関心が高まっている。これらの情報の一つに病院や施設の職員の高齢者に対する扱いや態度の問題が挙げられる。これは理学療法職の実践においても無視できない。態度とは後天的に学習を通し形成され,一度形成されると長期にわたって維持される反応をいう。本調査の目的は,大学生の「高齢者に対する態度(以下,ATOP)」について調査し,学部や専攻の違いが高齢者に対する態度に影響するか否かを比較・検討することである。【対象と方法】対象者は平成13年12月5日_から_平成14年6月4日に金沢大学に在籍する学生1365名で,将来,病院や福祉施設等に勤務すると思われる保健学学生と,そうでない職場に勤務すると考えられる文学部(以下,文系群:女性205名,男性201名),理学部(以下,理系群:女性88名,男性311名)の学生である。保健学学生に関しては,直接的に患者と接する業務にあたる看護学・理学療法学・作業療法学専攻の学生(以下,直接医療群:女性260名,男性46名)と間接的に患者と接する業務にあたる検査技術科学・放射線技術科学専攻の学生(以下,間接医療群:女性171名,男性83名)に分け,比較した。臨床経験を既に得ている可能性に起因する差を除く為,保健学の編入学生は対象者から除外した。ATOPの測定尺度は肯定的・否定的設問各17項目から成る。回答法は「全く同意できません 1点」,「同意できません 2点」,「やや同意できません 3点」,「やや同感です 5点」,「同感です 6点」,「おおいに同感です 7点」,「無回答 4点」を割り当てる7件法である。統計学的検定法は専攻(直接医療群・間接医療群・文系群・理系群)×性別(女性・男性)の2要因分散分析に次いで,Scheffeの検定を行った。有意水準を5%に設定し,ATOPの肯定的設問の得点による比較のみを行った。【結果と考察】有効回答率は100%であった。2要因分散分析の結果,専攻・性別間に交互作用は存在せず,下位検定により専攻と性別に有意差を認めた。性別による比較では,女性が男性よりもATOP得点が有意に高く,高齢者に対して肯定的な態度を示した。この理由として,女性のもつ生物学的・社会的・文化的特性が考えられる。専攻間の比較では,直接医療群の学生がその他の専攻の学生に比べてATOP得点が有意に高く,高齢者に対して肯定的態度を有していた。これは将来,高齢者と接することに対する意識の違いが,直接医療群の学生において肯定的な態度を形成しているのではないかと考える。【結論】高齢者と直接的に接する職業を目指す人は,医療従事者としての個人的資質・体験・専門的教育の影響によって,業務就任前から高齢者に対して肯定的態度が形成されるのではないかと示唆される。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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