理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP298
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運動・神経生理
陸上・水中における前脛骨筋とヒラメ筋の筋電図学的検討
*神谷 晃央山仲 智美新野 浩隆内田 成男大田 哲生村岡 慶裕富田 豊
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抄録
【はじめに】 水中運動は、浮力や抵抗などの水の特性を利用でき、整形外科疾患をはじめ、慢性関節リウマチや脳血管障害まで幅広く適応があり1)、免荷、筋力強化、筋・関節拘縮の軽減、フィットネス向上などの様々な効果が期待できる。しかし、水中環境の作用や水中運動の効果を定量化するには、防水対策を含めた測定機器の問題等があるため研究報告が少なく、筋電図学的検討はあまり行われていない。 今回、クロストークやアーティファクトの混入が低減できる自家製同心円電極を用い、陸上と水中での静的立位保持における前脛骨筋とヒラメ筋の筋活動を測定したので若干の考察を加え報告する。【対象と方法】 対象はインフォームドコンセントの得られた、整形外科的疾患の既往のない健常成人男性6名であり、平均年齢26.5±2.9歳、身長169.5±4.0cm、体重62.7±12.8kgであった。被験筋は右前脛骨筋とヒラメ筋とし、被験筋の筋腹中央部に直径2cmの同心円電極を貼り、その上からフォームパット(日本光電社製)とビニールフィルムテープ(3M社製)を用いて十分に防水した。測定肢位は基本的立位肢位(以下両脚立位)と片脚立位とし、動揺が安定してから10秒間の表面筋電を持ち運び可能な自家製筋電計で導出し、データロガー(NR2000,Keyence,Japan)で記録した。 各静的立位保持は、陸上および水中(水位は臍レベル)の2つのパターンを測定し、前脛骨筋積分筋電値とヒラメ筋積分筋電値の比(前脛骨筋積分筋電値/ヒラメ筋積分筋電値、以下活動比)を算出し、陸上と水中間において比較した。なお、2群間の検定にはウィルコクソン符号付順位和検定を用いた。【結果】 両脚立位の活動比は陸上にて平均0.56±0.43、水中にて平均1.20±1.00で、水中にて有意に増加していた。(P<0.05)また、片脚立位の活動比は陸上にて平均1.38±1.31、水中にて平均1.49±0.93であり、有意差は認めなかった。【考察】 陸上での両脚立位ではヒラメ筋を代表とする抗重力筋が持続的に収縮して姿勢保持を行っているが、水中においては浮力の影響により過重負荷が減少し、ヒラメ筋の活動も減少したものと考えられる。一方、片脚立位では、陸上・水中ともに試行毎における重心動揺の差異が大きく、姿勢制御としての前脛骨筋とヒラメ筋活動にばらつきが生じたと考えられた。今後、脳卒中片麻痺患者に対して、相対的に前脛骨筋が優位となる水中環境を利用した運動療法の有用性も検討していきたい。【引用文献】1)土肥信之・他:Underwater exerciseの新しい動向と諸問題.JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION Vol.7 No.7:678-682,1998.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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