理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP299
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運動・神経生理
遠隔筋随意収縮による促通・抑制効果の質的分析
2重刺激を用いた運動誘発電位による検討
*菅原 憲一笠井 達哉宇川 義一古林 俊晃
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抄録
【はじめに】筋の随意収縮は、遠隔筋の運動誘発電位(MEP)に促通効果を惹起させる。本報告では、咬筋の収縮による遠隔筋の錐体路細胞に対して抑制性介在ニューロンの関与の特性を検討する目的で、経頭蓋磁気刺激(以下、TMS)のpaired-pulse刺激法を用い、二つのMEP成分( I1とI3 )にどのような修飾の相違を示すかを解析した。【対象と方法】被検者は健常成人8名であった.運動課題は一定の強さの瞬間的な歯の噛み締め動作(以下、VTC)とした.その際、右咬筋の収縮による筋放電開始をtriggerとしてTMSを駆動し、50から70msの間でランダムにMEPを記録した.MEP導出筋は右第1背側骨間筋(FDI)とした.TMSはMagstim200を使用し、刺激コイルは8字コイルを用いた.潜時の相違からI1(潜時の速い成分)とI3(潜時の遅い成分)を導出できる状態でそれぞれの計測を行った.誘発方法はI1では前内側方向(AM),またI3では後外側方向(PL)に生体内で電流が発生する向きとした.以上の実験条件で下記に示す実験IからIIIを行った。なお、被検者には,実験の目的を説明して,同意を得て行った。実験I:被験者5名を対象として、2重刺激の適切な刺激条件を得るためAMとPLにおける条件 -試験刺激間隔(CT-interval)を変化させ、その特性比較と抑制がもっとも強い部分を確認した。その結果2msのCT-intervalで双方の刺激方向で最も強い抑制効果が得られた。以下の実験にこの結果を導入した。実験II:2重刺激の条件-試験刺激間隔(CT-interval)を変化(test alone,C-T=2,4,6ms)させ安静時とVTC時のMEPを検討した(被験者3名)。実験III:2重刺激の条件刺激強度(conditioning intensity)を変化(test alone, cond*0.6,0.8,0.9)させ安静時とVTC時のMEPを検討した(被験者3名)。【結果と考察】実験I: CT-interval上(AM、PL)で抑制と促通の相が認められたが、PLでは抑制期間が遷延していた.実験II:安静時とVTCの比較ではC-T intervalの増加に伴い、AMでは各intervalでそれぞれVTCにより促通が認められた.一方、PLでは各intervalで見られる安静時と比較し、VTCでさらに抑制が増強する傾向が認められた.実験III: Condition intensityを増強させるとAM、PLともに徐々に抑制が増大する.各強度でVTCを行うと、AMでは、促通が認められる.しかし、PLでは抑制の増強が認められた.以上の結果から,明らかにI1とI3の神経回路の機能的差異を反映した結果が認められた.他筋からのafferentによりI1は促通優位、I3は抑制優位の機能を持つことが示唆された.
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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