抄録
【はじめに】
終末期の介護・医療はターミナルケアあるいは緩和ケア、ホスピスケアなどと呼ばれている。その目的はその人らしい人生を全うすることを援助することであり、患者が望んでいるQOLを提供し、ケアする場と言われている。
当院、緩和ケア病棟は平成13年11月に開設した施設である。開設当初より発展的にリハビリテーション(以下:リハ)部門が関わりながら1年が経過したので、今回、現状と問題点について報告する。
【対象】
カレスマーク・ホスピスとして独立病棟となった平成13年11月19日からの7ヶ月間にリハを行った22例(全入院患者の約26%)を対象とした。平均年齢は66±10歳で性別は男性8例、女性14例であった。
【方法】
患者の基本情報としてリハ実施内容、入院期間、転帰などを患者記録より後方視的に調査した。さらに、生活レベルの把握するために日常生活自立度判定基準を利用し分類した。QOL評価ではIntegrated Distress-Activities score(以下IDAスコア)を利用し、リハ介入前後での検討を行った。
【結果】
リハ処方から終了までの平均期間は42±29.4日で、主なリハ依頼内容はマッサージ:7件、起立・歩行訓練:6件、ROM訓練:5件、呼吸訓練:3件、体操:2件など延べ24件行った。転帰は死亡が17例と最も多く77%を占める。
日常生活自立度判定基準ではランクA群(準寝たきり):5例、ランクB(車椅子生活):9例、ランクC(ベッド上生活):8例であった。IDAスコアでは、リハ開始時と、リハ経過中最高のスコアに達した時を検討し、改善率19.1%という結果が得られた。
【考察】
緩和ケアの患者に対し、リハビリテーションという言葉が適切かどうか、また、手段そのものが妥当なのか、終始、躊躇するところである。しかし、一般的に予後が不良と言われているDMD、ALSに対しては病期別ガイドラインが報告されている。緩和ケアにおいても検討すべき点は多々あるが、リハの対象として捉えていく必要がある。また、一般患者とは異なり時間的余裕がない分、医師や看護スタッフとの連携を密に図り、目標を共有することが重要となる。
緩和ケアにおけるリハの有効性、治療プログラムの策定、家族を含めた満足度調査など、今後はさらに取り組むべき課題が多い分野であることを痛感した。