理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: RP294
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教育
臨床実習指導における指導方針と到達水準の開示に関する調査
*早川 大吾岡島 健二下島 雅啓島田 和代堀 大介熊崎 みどり遠山 宏江
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抄録
【はじめに】臨床実習指導では指導者が指導方針と学生の到達水準をきちんと考慮した上で指導すべきと考えるが,それらが実際の指導環境では学生にどのように提示されているのか明らかではない。そこで,実態を調査した。【対象と方法】平成14年9月時点で岐阜県内に士会員3名以上が居る病院44施設の274名を対象とし,郵送による無記名のアンケート調査を実施した。【結果】有効回答は32施設の118名であった。回答者は平均臨床経験年数10年,実習指導年数7年であった。 指導方針を学生に開示しているか尋ねた所,「全部を開示」35名(30%),「一部を開示」44名(37%),「非開示」16名(14%),「どちらともいえない」23名(19%)であった。開示理由では,「実習目的の明確化とそれに伴う学生の積極的行動への期待」46%,「実習指導の効率化目的」19%,「学生と指導者の認識共有」19%が多く,非開示理由では,「指導者自身の表現能力不充分のため」26%が多かった。また,どちらともいえないとした理由では,「学生の力量を見定めてから考える」29%,「指導者自身の表現能力不充分のため」25%が多かった。 到達水準を学生に開示しているか尋ねた所,「開示」65名(55%),「非開示」17名(14%),「どちらともいえない」36名(31%)であった。開示理由では,「実習目的の明確化とそれに伴う学生の積極的行動への期待」40%,「学生の力量把握と課題設定目的」30%が多く,非開示理由では,「指導者自身の表現能力不充分のため」12%,「学生の自主性尊重のため」12%が多かった。また,どちらともいえないとした理由では,「学生の力量を見定めてから考える」33%,「指導者自身の表現能力不充分のため」11%,「開示や非開示を判断する立場にない」11%が多かった。 指導方針と到達水準について職場内で統一見解があるかを個別に問い,それを基に施設毎に検討した所,「両方に統一見解あり」1施設,「指導方針のみ統一見解あり」1施設,「到達水準のみ統一見解あり」2施設であった。 指導方針をどのようにして定めたのか尋ねた所,「自らが理学療法学生時に受けた方針を基にしている」のように,他施設との間で共有の可能性が少ない情報源を基に指導方針を定めている者が28名(24%)いた。到達水準についても同様の者が19名(16%)いた。【考察】臨床実習指導については,指導方針や到達水準についての全国的な一定の見解が浸透しておらず,1から2割の指導者は自ら考える指導方針や到達水準を頼りに学生指導をしていた。このような状況では,指導者が個人的に工夫を凝らして指導しても次の指導者では全く違う方針から指導されかねず,前の指導者の指導が充分活かされないと思われる。今回の調査では個人的な工夫によりどうにか実習が成り立っている側面が感じられた。全国的に統一性のある臨床実習教育の体制整備が待たれる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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