抄録
【緒言】昨今の医療を取り巻く環境は国民医療費の適正化を図るため,年々厳しさを増していっている.しかも,この医療コストの低減と同時に「医療の質の維持・保証」の問題が浮上してきたため,それらの問題に対応することは医療機関にとって差し迫った課題となっている.こうした,「医療サービスの質」の維持,向上に対応するために,各病院では「意見箱」の設置や「患者満足度調査」を院内の業務の一環として行うになってきた.つまり,患者の視点による医療サービスの評価を重視し始めてきたといえるのである.そこで,今回,当科で提供している理学療法サービスについて顧客(患者)の視点から問題を抽出する目的で外来患者に満足度調査を実施し,解決策について検討した.【方法】分析対象は当科に外来通院している患者のうち,本調査の主旨を十分説明した上で協力の得られた23名であった.調査は無記名の自記式質問紙法を用いた.調査票は基本的属性の設問,医療に対する感想についての設問(34項目)及び医師,看護婦および療法士に望む治療時の態度についての設問(12項目)であった.【結果】回答者の属性のうち,性別は男性11名(47.8%),女性12名(52.2%)であり,年齢階級は50歳未満6名(26.1%),50歳以上70歳未満15名(65.2%),70歳以上2名(8.7%)であった.医療に対する感想については,「この病院で受ける医療に満足している」「この病院に今後とも継続して通院したい」の設問にそう思うと回答した者は各々19名(82.6%),20名(87.0%)であった.また,医師の接遇態度,治療方針の進め方などについての満足度は約7割が肯定的に認めていた.さらに,看護師,事務職の接遇態度や業務内容に対しても約8割が満足していた.施設の設備,立地条件,待ち時間などの環境要因についての満足度も約7割が肯定的であった.一方,療法士に対する接遇態度,当科の待合室,治療室の雰囲気,治療時の説明内容,治療時間などの項目についての満足度は約7割が肯定的であった.但し,療法士の技術水準や専門知識に対する満足度については約6割が(やや)満足と答えていたが,約4割は「どちらともいえない」と回答が2分していた.なお,医療職種に望む治療時の態度については,何れの職種にも「いつも患者の感情を考えること」「十分な説明をすること」を望んでいた. 【結論】今回,回収できた調査票は必ずしも多くないことから,データが有する偏りに留意する必要がある.しかし,「医療提供者のモラル」として重視しなくてはならない患者の評価では,療法士の専門性に対する満足度は必ずしも高くなかった.今後は当科全体で職員の理学療法技術の水準や専門知識を高めるための研修を企画する必要性が認められた.