理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: SP128
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産業・労務管理
個別パンフレット作成ソフトの紹介
*神尾 昌利森本 哲史藤田 慎也藤井 さよ上川 美幸
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抄録
【はじめに】理学療法において、セルフプログラムが必要なケースは多い。特に、クリニカルパス導入に伴う入院日数の短縮により病棟でのセルフプログラム、自宅でのホームプログラムも益々重要となっている。一方リハビリの対象患者は高齢であるケースが多く、負荷量の指示を一度に覚えきれない、理解に時間を要する等、説明に苦渋する場面も多々見受けられる。患者の状態に応じた個別パンフレットの必要性は患者だけでなく治療者側にとっても望むところである。しかし、実際には患者の状態によって様々に違うパンフレット作成には、労力負担が大きく、個別にパンフレットを配布しているケースは比較的少ない。今回我々は個人の状態に合わせた治療プログラムを図、目的、方法により説明した、パンフレット作成ソフトを開発し導入したので報告する。【システムの概要】使用アプリケーション;Win、Macで互換性のあるファイルメーカーpro4で作成し、当院では現在Win98、OS上で使用している。【ソフトの概略】このソフトはファイルメーカーによる2つのデータベースファイル、1つの書き出し用ファイルの計3つのファイルより構成されている。(1)患者情報データーベースには患者氏名、ID番号、プログラム項目を保管。(2)治療メニューデータベースには図、目的、方法を保管(導入時メニュー登録数114種)。(3)印刷プレビューファイルでは患者データベース、治療メニューデータベースよりピックアップ情報を元に印刷内容を確認、修正する機能を備えている。【入力方法】(1)新規の場合患者情報の名前、ID番号を入力(2)治療対象部位を選択する。(3)患者に必要な治療メニューの図をクリックし治療項目をピックアップする。方法については、担当ごとの指導方法も、登録が可能となっている。(4)印刷プレビューボタンをクリック。印刷プレビュー画面では、患者毎に必要な注意点、運動方法の内容を付け加えたり、書き換えたりする事が可能。病棟で行なってもらうプログラムメニューには病棟ボタン、自宅で行ってもらうプログラムメニューには自宅ボタンを押して指示することが可能。(5)印刷ボタンをクリックする。【臨床的有用性】2カ月間のソフト使用経験を有する当院リハビリスタッフを対象に、入院中理学療法の処方された新規患者10ケースについて個別パンフレット作成の為、入力に要した時間(ソフトが立ち上がった状態から印刷ボタンを押すまで)を測定した。結果は、1ケースあたりのプログラム項目数は平均4.1項目で、平均作成時間は5分42秒であった。治療者側にとって、業務負担の少ない、満足できる結果であった。患者にとっても今回我々の作成したソフトの導入により、目的理解、方法理解、病棟セルフプログラム実施率において、アンケート調査より良好な結果を得ている。このソフトの使用は治療者、患者の双方において有用と考えられる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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