理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: BP560
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運動・神経生理
脊髄損傷ラット麻痺骨格筋におけるミオシン軽鎖アイソフォーム及びトロポミオシンの経時的変化
*堤 惠理子大久保 敦子宮下 崇弓削 類浦辺 幸夫
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抄録
【目的】我々は、脊髄損傷に伴う二次的な骨格筋萎縮に関して、筋収縮タンパクの変化を組織化学的に検討してきた。これまでに脊髄損傷後のラットヒラメ筋において、ミオシン重鎖アイソフォーム(Myosin Heavy Chain isoform : 以下MHC)がslowからfastへと変化することを明らかとした。また、脊髄損傷後のミオシン軽鎖アイソフォーム変化についての報告が乏しいことから、今回二次元電気泳動を用いて、筋収縮タンパクの要素であるミオシン軽鎖アイソフォーム (Myosin Light Chain isoform: 以下MLC)及びトロポミオシン(tropomyosin:以下TM)の変化を解析したのでここに報告する。【対象と方法】Wistar系雄性ラット19匹 (体重180±13.6g)を用い、13匹を脊髄損傷群(spinal cord injury群:以下SCI)、6匹を対照群(control群:以下CON)とした。SCIは腹腔内にネンブタールを投与後、麻酔下にてメスを用いTh4-9間で椎弓除去後、露出した脊髄をメスで完全横断した。術後1・3・5週で屠殺し、その後両側のヒラメ筋(以下SOL)・長趾伸筋(以下EDL)を摘出し筋湿重量の測定を行った。筋を40倍のミオシン抽出液でホモジナイズ後、一次元目の等電点電気泳動を実施した。その後、二次元目にSDS-PAGEを行い、クーマジーブリリアントブルー(coomassie brilliant blue:CBB)でゲルを染色し、ミオシン軽鎖、トロポミオシンを同定・定量化した。統計学的処理として、一元配置分散分析を実施した。【結果】筋湿重量(mg/g)は、SOLで各週ともに有意に減少した(p<0.05)が、EDLでは有意差を認めなかった。またSOLでは、術後1週でMLCアイソフォームの変化は認められなかったが、週が経過するとともにミオシン軽鎖のslow typeは減少、fast typeは増加した。一方、EDLでは有意差はなかった。今回トロポミオシンに関しては、α-TM、β-TMという2種類のアイソフォームの比(α/β)の検討を行ったが、両筋ともに有意差は認められなかった。【考察】slow typeのMHC アイソフォーム(MHC Iアイソフォーム)には、slow typeのMLCアイソフォームのみが存在する。したがって、SOLでミオシン軽鎖のslow typeが著明な減少を示したのは、MHC Iアイソフォーム減少に伴う変化である。一方、EDLは元来fast typeのMHC アイソフォームの占有率が高く、かつすべてのfast typeの発現が観察されることから、変化の幅が小さく、有意差が認められなかったと考えられる。また、トロポミオシンに関しては、β-TMは骨格筋のタイプI線維に、α-TMはタイプII線維に多く含まれていると報告されている。今回のトロポミオシンの検討結果は、筋萎縮に伴うhybrid fiberの出現が原因だと推察される。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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