理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: TP788
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健康増進
施設入所高齢者に対する運動プログラムの介入効果
*池添 冬芽浅川 康吉島 浩人黒木 裕士
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抄録
【はじめに】我が国においては虚弱高齢者や要介護高齢者が急増しており、高齢者の健康寿命を延伸し、健やかな長寿社会を実現するための介護予防対策を確立することが重要な課題となっている。本研究の目的は高齢期における日々の簡便な運動プログラムの実施が日常生活動作能力および運動機能に与える影響を明らかにすることである。【対象】対象は養護老人ホームに入所している高齢者24名で運動プログラムへの参加率が80%を超える者13名(81.3±6.2歳)を介入群とし、運動プログラムに参加していない者11名(82.9±6.6歳)を対照群とした。脳血管障害や慢性関節リウマチなどの身体機能障害を有する者、および痴呆症状など精神・心理機能低下の認められる者は対象から除外した。【方法】日常生活動作能力はFunctional Independence Measure(以下、FIMとする)および歩行移動範囲により評価した。FIMによる評価は、移動・移乗に関する5項目について実施した。歩行移動範囲の評価は遠位屋外移動自立、近位屋外移動自立、施設内自立の3段階にて評価を実施した。運動機能は膝伸展筋力およびバランス能力について評価した。膝伸展筋力は徒手保持型マイオメーターを用いて測定した膝関節屈曲90度位における最大等尺性膝伸展筋力および下腿長から算出した体重比膝伸展トルク値(Nm/kg)の左右両側の平均値を用いて評価した。バランス能力はFunctional reachを用いて評価し、開脚立位で利き手側上肢を肩関節90度屈曲し、そこから上肢をそのまま水平に最大限前方に突出させることのできる距離(cm)を測定した。 運動プログラムは足部に重錘バンドを負荷して座位での膝関節伸展運動、立位での股関節屈曲運動、椅子からの立ち座り等を行う約20分のプログラムとし、実施頻度は1日1回、週6日、実施期間は1年間とした。【結果】運動プログラム実施前後の日常生活動作能力の比較では、介入群においては歩行移動範囲が変化したものはみられなかったのに対して、対照群では歩行移動範囲が近位屋外移動自立から施設内自立へと段階を減じた者が2例みられた。FIMのスコアは両群とも実施前後で変化を認めず、介入群では31.8±2.8点、対照群では29.0±3.3点を維持していた。運動機能については膝伸展筋力が介入群において0.88±0.29Nm/kgから1.00±0.25Nm/kgへと有意に増加し(p<0.05)、対照群では変化は認められなかった。Functional reachの成績では介入群では実施前後で有意差は認められなかったのに対して、対照群では22.8±3.8cmから18.7±4.7cmへと有意な低下がみられた(p<0.05)。【考察】本研究の結果は、高齢期における日々の簡便な運動プログラムの継続が、下肢筋力の改善やバランス能力の維持および歩行移動範囲の保持といった点で有効であることを示唆している。施設入所高齢者が簡便な運動プログラムを日々継続することは介護予防対策として有用と思われる。
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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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