抄録
[はじめに]平行棒支持免荷歩行中の歩隔および歩行様式の違いと患肢免荷量との関係について垂直分力を用いて明らかにすることを目的とした。[方法]対象は、若年群10名、高齢群8名である。若年群は健常成人女性で年齢は平均24.7歳(22-27歳)である。高齢群は独歩可能ではあるが全例介護老人保健施設通所サービスを利用している虚弱高齢女性であり、年齢は平均78.8歳(72-90歳)である。若年群および高齢群に、左脚を患肢と見立てて、右手で橈骨茎状突起の高さにあわせた平行棒を把持させながら、中央に大型床反力計(180cm×40cm)を設置した10m歩行路を快適速度歩行と最大(努力)免荷歩行で各2回歩かせ左脚の垂直分力すなわち荷重量(%BodyWeight:%BW)を得た。この荷重量から体重比免荷量(100-%BW)を算出した。歩隔は成人女性の平均身長から算出した基準値すなわち13.2+0.041×年齢を元に、基準値歩隔、基準値+10%歩隔(基準値+16cm)、基準値+20%歩隔(基準値+32cm)の3パターンを設定した。統計的手法は、SPSS10.0forWINDOWSにて1元配置分散分析ならびにstudentのt-検定を用い、有意水準を5%以下とした。[結果] 快適速度歩行下での歩隔の違いによる免荷量の推移は、高齢群の基準値歩隔、基準値+10%歩隔、基準値+20%歩隔の免荷量が、それぞれ5.0±2.8%BW、8.2±2.6%BW、11.8±1.4%BWで、有意差を認めた(p<0.05からp<0.01)。最大免荷歩行下では、両群で歩隔の違いによる免荷量に有意な差は認められなかった。快適速度歩行下での各歩隔における若年群と高齢群との比較では、基準値歩隔および基準値+10%歩隔で、若年群の免荷量が高齢群の免荷量に比べ有意に高値を示していた(p<0.01)。最大免荷歩行下では各歩隔において、若年群の免荷量が高齢群のそれに比べ有意に高値を示していた(p<0.01)。[考察]快適速度歩行下において、基準値歩隔での体重比でみた免荷率は若年群で16.5%、高齢群で5.0%、基準値+10%での免荷率は若年群で18.5%、高齢群で8.3%、基準値+20%歩隔での免荷率は若年群で19.0%、高齢群で11.8%となった。また高齢群8名全例において歩隔を広げるにつれ免荷率は増加した。このことは免荷を意識しない歩行であっても、歩隔を広げることで、わずかながら免荷が可能であることが示唆された。最大免荷歩行下において、基準値歩隔での免荷率は若年群で43.9%、高齢群で11.7%、基準値+10%での免荷率は若年群で43.6%、高齢群で14.5%、基準値+20%歩隔での免荷率は若年群で40.6%、高齢群で17.9%となった。免荷を意識した歩行では、若年群では歩隔の違いによる荷重率で差を認めなかったものの約40-44%免荷されており、同様に高齢群において11-18%免荷され快適速度歩行より高い免荷率であったことから、より免荷を意識しながら歩行させることの重要性も示唆された。