理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 339
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神経系理学療法
パーキンソン病患者に対する外部刺激の影響
トレッドミル歩行中の視覚刺激への反応
*平井 達也, 千鳥 司浩, 今渕 雅之, 村田 薫克, 藤川 小百合, 木村 伸也
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抄録
【目的】
 パーキンソン病(以下,PD)患者の特徴的な歩行障害は自発性運動の障害によるものとされており,それに対する介入は一般にリズム開始法や視覚誘導法など外部刺激を用いた方法が提唱されている.しかし,諸家の報告では改善に至らない症例も存在する.そして,それらの原因について十分な考察はなされていない.そこで今回,3例のPDに対し横線による視覚刺激を加えたトレッドミル歩行を観察し,刺激への反応の違いに対する考察をしたので報告する.
【方法】
 対象はPD3名(症例A:56歳,男性,Yahr1,症例B:70歳,女性,Yahr3,症例C:68歳,男性,Yahr3)とした.方法は,線のない条件(NL条件)とトレッドミル上に横線がある条件(TL条件)にてそれぞれ1分間快適速度で歩行を行った.両条件とも足元を注視し歩行させた.歩行終了後,条件の違いにおける歩行の変化について内省報告を求めた.歩行は側方からデジタルビデオカメラで撮影し,PCに画像を取り込み歩幅を計測し,身長で除し標準化した(身長比).また身長比の変動係数(CV)を求めた.
【結果】
 身長比に関して,症例B・CはNL条件に比べTL条件で有意に増加した.CVに関して,症例A,CのNL条件におけるCVは低値であり,症例BのCVは高値であった.症例Aでは条件間での違いは見られず,症例BはNL条件に比べTL条件で有意に減少し,また症例CはNL条件に比べTL条件で有意に増加した.内省報告は3症例とも「線を気にせず普通に歩いた」であり,条件の違いによる歩調の変化に自覚はなかった.
【考察】
1)自発性の運動について
 NL条件の結果をみると,症例Bにおいては歩幅の変動が大きいため歩行は不安定であり,一方症例Cでは機能レベルの高い症例Aとほぼ同様な変動であり,歩行は安定していた.自発性の運動は補足運動野の機能であるとされるため,症例CはBに比べこの機能が保たれていたと考えられた.
2)線刺激に対する影響の違いについて
 症例Bは視覚刺激により歩幅が安定し刺激が有効に作用したが,症例Cでは視覚刺激により歩幅のばらつきが増加し,刺激に対する反応の違いが観察された.飯嶋らはGo/Nogo刺激を用いた課題においてPDでは抑制的情報処理能が早期に障害されるとしている.今回,症例BとCではNL条件とTL条件間で歩幅の違いが見られたことより視覚刺激の影響を受け,それを抑制できなかったものと考えられた.
 症例Cでは自発性の運動は可能であったが,新たに加えられた視覚による外部刺激を抑制できないために歩行が乱されたと推察された.
 以上のことより線など視覚からの外部刺激により必ずしも歩行が安定するわけではないことが分かった.また,視覚刺激への反応は病態の違いにより変化することが示唆されアプローチの際に注意しなければならないと考えられた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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