理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 340
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神経系理学療法
後ろ向きトレッドミル歩行がParkinson病患者の歩行機能に及ぼす影響
*武田 秀和, 石井 慎一郎, 長澤 弘, 内田 賢一, 大森 圭貢, 金子 弥生, 平野 康之, 鈴木 誠, 掘田 宗文
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抄録
【背景】Parkinson病(以下PD)患者の自覚症状のなかで「歩きにくさ」を訴える患者が最も多い。すくみ足や小刻み歩行などの歩行障害は,転倒を惹起し,日常生活での活動範囲を狭める。このようなPD患者の歩行障害に対し,Treadmillを用いた方法として視覚入力や体重免荷によるトレーニングが散見される(Hanakawa 1999,Miyai 2000)。しかし後ろ向き歩行の影響について検討したものはない。我々は,後ろ向きTreadmill歩行がPD患者の伸展筋群を促通し,姿勢及び歩行の改善につながるのではないかと考えた。
【目的】後ろ向きTreadmill歩行がPD患者の歩行機能に与える影響について検討することを目的とした。
【対象】S病院神経内科から理学療法の処方があった通院中の男性PD患者2症例である。
症例1 ,69歳,身長167.5cm,体重69.0kg。罹病歴13年,Hoehn-Yahr stage3,四肢の症状は右側優位である。L-Dopa200mg,要介護度2。既往歴に高血圧症,不安定狭心症がある。
症例2,79歳,身長167.5cm,体重55.0kg。罹病歴1年,Hoehn-Yahr stage2,四肢の症状は左側優位である。L-Dopa300mg,要支援。既往歴は慢性肺気腫,不整脈。
対象者は本研究の主旨に同意した者である。
【方法】計測は,後ろ向きTreadmill歩行前後で対象者に床反力計(AMTI社)上を自由歩行させて行い,平均歩行速度,立脚期における歩幅と下肢関節角度及び下肢関節モーメントのピーク値を求めた。解析機器は三次元動作解析置(VICON MOTION SYSTEMS社)を用いた。後ろ向きTreadmill歩行は3%の傾斜で,速度を本人の快適さを重視した1.0~1.2mile/hとし,手すりを用いて10分間行った。測定は予備歩行を行った後実施し,解析は自由歩行3回のうち床反力計接地が適切であった1回を採用し,下肢関節角度及び関節モーメントは症状優位側を比較した。
【結果】後ろ向きTreadmill歩行前後における平均歩行速度は,症例1が78.6から77.9m/minと変化は認められなかったが,症例2は48.6から59.3m/minに増大した。歩幅は症例1が0.37から0.40m,症例2は0.36から0.42mにそれぞれ増大した。股関節角度及びモーメントをみると,症例1は変化が認められなかったが,症例2では症状優位左下肢の伸展ピーク値がTreadmill歩行前屈曲3.6°から歩行後,伸展4.3°に拡大し,Treadmill歩行前にはみられなかった屈曲モーメントが出現した。
【考察】後ろ向きTreadmill歩行により歩行速度が速く歩幅が小さかった症例1は,歩幅が大きくなり,症例2では歩幅,歩行速度ともに増大した。これらのことから,例え短時間であっても後ろ向きTreadmill歩行は,股関節伸展を増大させ,平地歩行時の歩幅を拡大し,歩行機能を改善する効果があることが示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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