理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 377
会議情報

神経系理学療法
脳血管障害患者の歩行速度と振り向き動作の関連
*玉利 誠, 多々良 大輔, 田邉 紗織, 宿輪 宏明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】脳血管障害患者の動作場面において、振り向き動作や方向転換などを円滑に行える者ほど歩行速度が速い印象を受けていた。そこで今回、振り向き動作に着目し歩行速度との関連を分析した結果、若干の知見を得たので報告する。
【対象】屋内歩行が監視もしくは自立している脳血管障害患者14名(男性9名、女性5名、出血9名、梗塞5名、右片麻痺5名、左片麻痺9名、60.1±11.4歳、発症後155.3±69.1日、SIAS下肢機能合計13.6±4.48点)、及び健常人10名(男性9名、女性1名、26.8±4.1歳)。補装具使用の有無は問わず、著明な高次脳機能障害、痴呆、関節可動域制限、感覚障害のある者は除外した。
【方法】両上肢は前方にて組み、下肢は上前腸骨棘からの垂線が第2中足骨延長線上を通るように足幅を位置した裸足立位から、合図と同時に3m後方目線上のマークをできるだけ速く振り向き見るよう指示し、麻痺側方向・非麻痺側方向についてそれぞれ2回の動作練習後1回ずつ施行した。測定にはアニマ社製三次元動作解析システムLocus MA-6250を使用し、マーカーは11箇所に設定した。更に患者群では裸足での10m自由歩行を3回行い平均値を求め、その値を目的変数としてそれぞれ重回帰分析を行った。
【結果及び考察】非麻痺側方向:10m歩行速度=-1.56×非麻痺側骨盤総軌跡長+2.1×麻痺側骨盤総軌跡長+0.43×非麻痺側肩峰総軌跡長-2.33×COP総軌跡長-3.8×(合成COP前方最大値-合成開始時COP)+0.96×(合成COP前方最大値-合成COP後方最大値)-1.57×麻痺側足関節底屈モーメント最大値+2.7×非麻痺側足関節底屈モーメント最大値-1.35×麻痺側前方床反力最大値-0.06×麻痺側鉛直方向床反力最大値(決定係数:0.99、P<0.01)麻痺側方向:10m歩行速度=-0.81×麻痺側鉛直方向床反力最大値-7.4×非麻痺側股関節伸展モーメント+5.18×麻痺側足関節底屈モーメント(決定係数:0.75、P<0.01)健常者では回転方向と反対側下肢への荷重の割合が高く、体幹回旋の開始とほぼ同時期にCOPの前方移動が出現する傾向が認められた。対して患者群では非麻痺側方向への回転について得られた重回帰式より、合成COPを前方へ移行するとともに麻痺側下肢へ荷重し、足関節底屈モーメントを用いた制動、及び上部体幹と分離した非麻痺側骨盤の後退が重要であると考えられる。これらにより、歩行時の麻痺側立脚相における股関節伸展角度の増大を伴った前方への重心移動を円滑に引き出す効果が期待される。麻痺側方向への回転時においても歩行速度との高い相関が認められた。しかし詳細を分析するに至らなかったことから今後の課題としたい。
【まとめ】脳血管障害患者の振り向き動作にアプローチすることで、歩行時間の短縮が図られる可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2004 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top