抄録
【はじめに】当院では第38回理学療法学術大会においてFIMによる重症度分類からの検討を報告した。、身体機能面での回復度をはかり、今後の治療に繋げていくため今回は症例数を増やし更にFIM項目を運動13項目のみで考え、重症度分類からの調査・検討をしたので報告する。
【対象、方法】対象は平成14年4月から平成15年10月までに当院回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)を退院したもので、急性発症した脳血管障害患者230名(男性118名、女性112名)。平均年齢71.5±11.1歳。疾患は脳梗塞138名、脳出血66名、くも膜下出血14名、その他12名、麻痺側右88名、左108名、両側17名、明らかな麻痺無し17名。治療内容としては基本動作訓練を主体とし、病棟での訓練や獲得された機能を病棟へ伝達し、「しているADL」の獲得を目指すアプローチを行った。調査項目をFIM運動13項目とし、3群(重度群<39点、中等度群<78点、軽度群)に分け在院日数、自宅退院率(以下自宅率)、歩行自立率、FIM利得(開始時、退院時の差)を調査した。また3群間において得られた結果を自宅率、歩行自立率ではχ二乗検定を、在院日数、FIM利得においてはクラスカル・ワーリス検定を使用し有意差を検討した。
【結果】
(1)分類:重度群(以下重)96名、中等度群(以下中)107名、軽度群(以下軽)27名、(2)在院日数:全体89.33±45.0、重104.7±40.9、中87.7±44.2、軽40.59±19.2、(3)転帰・自宅率:全体57%、重28%、中76%、軽89%(4)歩行自立率:開始時全体(以下開)8%、退院時全体(以下退)29%、重2%、中36%、軽93%(5)FIM得点:全体開66.3±23.5、退83.0±26.3、重開37.3±17.5退53.19±27.6、中開80.5±14.4退99.9±18.8、軽開113.3±11.4退122.2±8.4。自宅率、歩行自立率、在院日数、FIM利得共すべてに3群間にて危険率5%で差が見られた。
【考察】今回運動項目のみに注目し、FIM得点を3群に分けることでそれぞれに明らかな差が見られた。よって、FIM運動項目での重症度分類においても、改めてその有用性を確認することができた。今後も臨床場面での一つの指標として有効煮に活用していきたい。また各群間のFIM利得には大きな差は見られなかったにも関わらず、自宅率は重度群28%に対し中等度群では76%と大きな差があった。さらに軽度群に比べ、重度群では在院日数が長く、自宅率も低かったことから、重度群においては介助量が多いことが自宅率を低下させている原因の一つと予想される。このため、今後は定期的に重度入院患者を対象とした家族指導を行っていくことで、重度群自宅退院率の向上を目指していきたい。