理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 437
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神経系理学療法
脳梗塞患者の自宅復帰率と高次脳機能障害及びFIMとの関連性(第1報)
*川村 浩坪根 愛岩永 美香前田 貴也泉 清徳高橋 紗千子井手 睦
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抄録
【はじめに】当院では平成13年7月より回復期病棟が開設され,以後2年間の脳卒中患者の自宅復帰率は56.9%となっている.本研究では,脳梗塞患者の自宅復帰率の因子として高次脳機能障害と機能的自立度評価(以下FIM)項目について調査し,若干の知見を得られたので報告する.
【対象】平成13年7月から平成15年7月までに当院回復期病棟において転入出した70歳以上の脳梗塞(テント上)片麻痺患者のうち自宅復帰または転院・施設入所した63名(男性28名,女性35名.平均年齢78.6±5.9歳.右片麻痺39名,左片麻痺24名).
【方法】対象を自宅復帰群及び転院・施設入所(当院療養型病棟への転棟含む)群(以下それぞれ自宅群,転院群)に分類し,さらに各群で右片麻痺,左片麻痺(以下それぞれ右群,左群)に分けた.高次脳機能障害の有無は医師の診断及びOT・STの回復期病棟転出時評価により判定した.その上で1)入院期間(入院日から回復期病棟転出まで),回復期病棟滞在期間,リハビリテーション期間の比較(t検定),2)高次脳機能障害を有する比率の比較,3)回復期病棟転出時FIMとの関連性の比較を行った.
【結果】1)においては回復期病棟滞在期間以外で転院群が自宅群に対し有意に長かった(p<0.05).また,2)では転院2群のうち左群で多い傾向が見られた.3)では転院群が自宅群に対し低得点の傾向が見られ,転院群内においても左群は右群に対し低得点の傾向があった.次に,麻痺の重症度の影響を小さくするために,下肢の麻痺重症度をBrunnstrom stage IからIVと限定した(n=24名,男性9名,女性15名,平均年齢80.1±6.2歳,右片麻痺10名,左片麻痺14名).この場合,1)および3)ではほとんど差が見られなかった.2)において,自宅群では対象限定前より高次脳機能障害を有する比率が低下していたが,転院2群,特に左群では著明に高い比率であった.
【考察】これまで報告されていたように自宅復帰の要因としてFIM点数や高次脳機能障害の有無が関わっていることが伺えた.また転院・左群の傾向から,左片麻痺で高次脳機能障害を有する場合は脳損傷も広範になると推察され,そのため下肢の麻痺も重症化してくるのではないかと推察された.今後,高次脳機能障害の重症度を考慮したうえで麻痺の重症度やFIM点数毎に比較し,関連性を調査する必要があると思われる.
【結語】脳梗塞患者の自宅復帰率と高次脳機能障害・FIMの関連性を分析した.高次脳機能障害の有無だけでなく下肢の麻痺重症度がFIMや転帰先に影響を及ぼすことが示唆された.今後,高次脳機能障害の程度を数値化し,FIM点数との関連性を調査する必要があると思われる.
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© 2004 日本理学療法士協会
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