理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 535
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神経系理学療法
TELERを使用した評価の取組 第2報
発達障害分野における目標達成と効果判定
*吉田 勇一戸田 美由紀坂田 和美浅田 奈巳柴田 さやか森 真里子加渕 繭子江渡 文
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抄録
【目的】
 我々はTELER (Treatment Evaluation by the LE Roux’s Method)を使用して平成13年より評価を行い、昨年本学会で提唱した「具体的な目標設定のための視点」を基にして、コード0からコード5に6段階分けした目標を臨床記録の中に数値として書き込んできた。今回、その結果から目標達成期間・目標設定方法・効果判定に関する今後の療育のための提言を行いたい。
【対象】
 6段階に分けられた目標50個を対象とした。対象者数30名:男性16名、女性14名。年齢:1~54歳。疾患名:脳性麻痺、染色体異常、運動発達遅延、頭蓋内出血後遺症、点頭てんかん、脊髄小脳変性症、先天性多発性関節拘縮症、脳挫傷、メチルマロン酸血症。
【方法】
 50個の目標をランダムに抽出した。目標達成過程を含んでいる理学療法・作業療法の記録のなかから、目標達成までの期間・達成したコード数・目標設定方法等を中心に検討した。目標設定はできているのだがコード0から変化していないケースやコードが不順に変動(例:コード1からコード4へ等)したケースは除外した。目標設定方法としては、A:本人の機能的変化、B:環境変化、C:介助量変化、D:介助・成功頻度のそれぞれを「目標設定方法の視点」として複合的に考えて設定した。
【結果】
 目標50個中コード5まで達成したのは20個で、その達成期間に関しては35~340日間と差が激しく、発達障害分野における治療効果判定の難しさを再認識した。達成コード1=4個、コード2=10個、コード3=9個、コード4=7個。また「目標設定方法の視点」から考えれば、Aの本人の機能的変化を含んだ目標設定が最も多く認められた。内訳:ACD=18、B=11、AD=9、AC=7、ABC=2、AB=2、BD=1。コードの進行状況はACDの複合型とBがもっとも優れていた。コード5まで達成した目標の内訳:ACD=6、B=6、AD=5、AC=2、ABC=1。
【考察】
 発達障害分野でTELERを使用して評価を行った結果から、厚生労働省の定める「3ヶ月に1回の効果判定」は、過半数が困難であることが理解できた。その原因として日頃行われているさまざまな治療手技中心型の訓練が定着していることや、短期間に達成可能な機能目標を設定する課題に対する我々の経験不足などが考えられる。また、目標を設定する際の考え方は機能重視で、介助量や成功回数等を念頭に置いて作成すべきことが理解できた。
【まとめ】
 今回の報告をまとめていく中で未だ具体的な目標がなくても平然と理学療法や作業療法を行っている現状と、それを打破しようとする具体的機能目標の達成過程で創出された治療技術との葛藤を経験した。今後このような新しい治療概念に基づいて症例を取り上げて、目標設定から得られる効果判定・治療技術の重要性を提唱していきたい。
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© 2004 日本理学療法士協会
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