理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 564
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神経系理学療法
急性期脳血管障害患者に対する臥位姿勢観察の有用性
*鶴埜 益巳内山 靖
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抄録
【目的】急性期脳血管障害患者ではリスクの少ない状態で,短時間かつ簡便な評価を行う必要がある.理学療法士の臨床において広く行われている姿勢観察は,標準化された方法と妥当性について検証されていない.そこで,本研究では観察項目と口頭指示項目による評価が妥当であるかを検証する目的で,国際的に信頼性,妥当性が検証されている既存のstroke scaleやADL評価による機能評価との比較を行った.
【方法】対象は平成15年7月から平成15年9月にA病院神経内科に入院中の脳血管障害患者40名で,平均年齢71.2(±11.6)歳,性別は男性23名,女性17名,診断名は脳梗塞34名,脳出血6名,麻痺側は右16名,左24名であり,発症から評価までの期間は平均4.5(±8.1)日であった.方法はstroke scaleとしてJapan Stroke Scale(以下JSS),National Institute of Health Stroke Scale(以下NIHSS),ADLについてはFIMを用いて評価した.評価手順は自作した観察項目5項目,口頭指示5項目,JSS,NIHSSを同時点で評価し,FIMについては対象者,その家族,看護師から調査した.分析は各評価得点間の相関の解析にSpearmanの順位相関係数,(FIMを除く)評価の所要時間の解析にt検定を用いて検討した.
【結果および考察】臥位観察項目とJSS(r=0.743),NIHSS(r=0.745),FIM(r=-0.689)で,有意な相関を認めた(p<0.01).また,口頭指示項目とJSS(r=0.907),NIHSS(r=0.882),FIM(r=-0.899)で,観察項目よりも相関係数が高かった.観察項目と口頭指示項目を合計した全得点と JSS(r=0.890),NIHSS(r=0.881),FIM(r=-0.870)であった.また,評価の所要時間の検討では,観察項目と口頭指示項目との合計は195.2(±55.6)秒で,JSSの335.1(±54.6)秒,NIHSSの249.0(±64.7)秒よりも有意に短時間での評価が可能であった(p<0.01).
観察項目と他の評価表との間で高い相関を認めたことは,理学療法における姿勢観察が評価として臨床的に妥当なもので,かつ有用である可能性が考えられた.また,観察項目だけでなく口頭指示項目を補足することによって,より精度の高い評価が可能となることが考えられた.姿勢観察の項目は意識障害のある患者や,口頭指示に反応できない患者に対しても標準化された評価として,経時的変化を追うことが可能と考えられた.
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© 2004 日本理学療法士協会
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