理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 774
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骨・関節系理学療法
頚部脊椎症性脊髄症患者における機能障害とQOLとの関連についての検討
*井上 雅之中井 英人荒本 久美子川上 紀明松原 祐二小原 徹哉片山 良仁今釜 史郎
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キーワード: 頚随症, JOA, SF-36
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抄録
【はじめに】頚部脊椎症性脊髄症(以下、頚髄症)は、変形性脊椎症による靭帯の肥厚や線維輪の脱出などにより、脊髄の圧迫症状を呈したものであり、その障害高位によって上下肢の麻痺、運動、感覚障害を生じるとされているが、その機能障害とQuality of life(以下、QOL) との関連についての報告は少ないと思われる。そこで、今回我々は頚髄症と診断され手術を施行した患者の、術前における機能障害とQOLとの関連について検討したので報告する。
【対象】2002年5月から2003年7月までに、当院で頚髄症と診断され手術を施行した患者のうち、術前評価が可能であった50名(男性33名、女性17名、平均年齢63.5±10.3歳)であった。
【方法】機能障害の評価として、日本整形外科学会頚部脊椎症性脊髄症治療成績判定基準(以下、JOA)を用い、上下肢運動機能、知覚、膀胱機能および合計点に細分化した。またQOLの評価にはSF-36(MOS 36-Item Short-Form Health Survey)を用いた。SF-36は健康関連QOLを評価するアンケート調査で、身体機能(Physical functioning:以下PF)、日常役割機能・身体(Role-Physical:RP)、体の痛み(Bodily Pain:BP)、全体的健康感(General Health:GH)、活力(Vitality:VT)、社会生活機能(Social Functioning:SF)、日常役割機能・精神(Role-Emotional:RE)、心の健康(Mental Health:MH)の8項目のサブスケールからなり、それぞれを100点満点に換算した。上記SF-36の各項目間における群内比較を行った後、JOAの各項目および合計点との関連について調べた。統計処理は、SF-36の郡内比較にはフリードマン検定を、SF-36とJOAとの関連にはスピアマンの順位相関検定を用いた。
【結果】SF-36の群内比較においては、BP,VT,GH,RP,MH,RE,SF,PFの順に低値を示した。また、JOAとの関連では、PFと上下肢運動機能(r=0.448,p<0.05)、合計点(r=0.351,p<0.05)において相関がみられた。その他において相関はみられなかった。
【考察】今回、頚髄症の術前患者における機能障害とQOLとの関連について検討したが、相関がみられたのはPFと上下肢運動機能、合計点であった。これは、PFが身体機能についての質問であるため、機能障害と関連がみられたのではないかと考えられる。また群内比較においてBP,VT,GHが著しく低値を示したことから、疼痛が心理的な面に影響を及ぼしたのではないかと思われる。そして、BPと知覚との関連がみられなかったのは、知覚の質問にはしびれと疼痛の両方が含まれているものの、しびれが主であると捉え易い内容であったためであると推察される。今後、術後患者に対しても定期的に同様の調査を実施し、機能障害とQOLとの関連が経時的にどのように変化していくのか検討していきたい。
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© 2004 日本理学療法士協会
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