抄録
【目的】全国の医療機関で広がりを見せているクリティカルパス(以下パス)は、現在も様々な形を変え進化している。パス作成には医師、看護師、薬剤師、理学療法士など多くの医療スタッフの協力が必要である。パス作成後は見直し作業を行うことでチーム医療の充実、目的意識の向上が生まれる。当院では平成10年からパスを導入してきた。パス導入により治療プロセスを標準化し、アウトカム(退院基準・在院日数)を見直すことで、臨床アウトカムと患者・職員満足度の向上につながり、結果的に在院日数は短縮しコストも削減する。現在、手術後リハビリ進行度の促進による、早期回復が得られているが、在院日数の短縮により、理学療法士が患者に接する時間も必然的に短縮している。今回、整形外科疾患に対するパスの問題点として、患者の自己管理と医療連携が考えられたため、それらの対策について報告する。【結果】対策1、高位脛骨骨切り術:後療法が長期化し完治までに約1年を要する。当院では術後6週で退院となり、装具装着にて歩行は自立されている。入院中は院内パスに沿った治療を実施し問題ないが、退院後はパスがないため、患者の不安が残る状態であった。そこで、外来につながるパスを作成した。外来につながるパスは外来受診日、装具を外す時期、自宅での注意点、完治までの目安を記載した。対策2、人工股関節置換術:術後の合併症で理学療法士が深く関与する脱臼がある。脱臼は患者の理解が重要となるため、短期間での脱臼防止指導が求められる。そこで、従来の口頭指示のみではなく、骨模型を使用した説明、パンフレット指導、ビデオ指導を施行している。対策3、人工膝関節置換術:術後早期からの膝関節可動域の拡大が重要となり、自主訓練を積極的に行ってもらうため、明確な目標設定(膝関節可動域)を患者用パスに記載した。術後1週で膝関節屈曲90度、術後2週で膝関節屈曲100度、術後3週で膝関節屈曲120度としている。術後2週で膝関節90度以下に関しては、硬膜外麻酔下にて医師による関節受動術を施行している。対策4、大腿骨頚部骨折手術(γネイル法・CHS・人工骨頭置換術)、腰椎椎弓切除術、頚椎椎弓形成術:術後1日目より超早期離床を促す。大腿骨頚部骨折手術に対しては、受傷前の状態によって左右される。術後在院日数の設定は2週で退院基準は転院としている。腰椎椎弓切除術、頚椎椎弓形成術に対しては、紹介入院が約7割を占め、術後に自宅退院が可能な患者も、紹介病院に転院する症例が多い。これらの疾患に対しては、より充実した病病連携を行うために連携パスの必要性がある。連携パスは、患者が転院先でも継続した治療が行え、転院先スタッフが共有するように作成した。作成に至っては、医師・看護師・理学療法士が連携施設へ訪問し、連携パスの内容について会議を重ね完成した。現在も定期的に連携施設と共同で見直し作業を行っている。