理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 813
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骨・関節系理学療法
成長期脊椎分離症の発生要因について
*田中 幸彦林 典雄鵜飼 建志赤羽根 良和中宿 伸哉宿南 高則近藤 照美細居 雅敏増田 一太山崎 雅美吉田 徹笠井 勉
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抄録
【はじめに】成長期脊椎分離症(以下分離症)はスポーツ障害の1つで、腰椎すべり症への移行、慢性腰痛の存在など将来に問題を残す可能性のある疾患である。吉田らは、分離症は椎弓の関節突起間部の疲労骨折により発症すると述べ、発症の早期に発見すれば保存療法で椎弓の分離部は骨癒合し治癒する可能性は高いと報告している。今回我々は、下肢筋のtightnessが分離症を引き起こすrisk factorと想定し、下肢の柔軟性と分離症の関係について検討したので報告する。
【対象】平成15年1月から11月までの60名を対象とした。性別は男性52名、女性8名で平均年齢は13.1±2.2歳であった。競技種目は、野球24名・サッカー10名・バスケットボール6名・バレーボール4名・その他10名・無競技が6名であった。脊椎分離レベルは、L5のみ44名・L4のみ8名・L3のみ6名・L3およびL4が1名・L4およびL5が1名であった。分離側は、両側34名・左側16名・右側10名であった。
【方法】下肢筋のtightnessは、ハムストリングス(以下Ham)、大腿直筋(以下RF)、腸腰筋(以下IP)、大腿筋膜腸筋(以下TFL)に対し測定を行った。判定基準は、HamはSLR値、RFは骨盤最大後傾位での膝屈曲角度(以下大腿直筋伸張テスト)とした。またIPはThomas test、TFLはOber testにて行ったが、判定基準は以下のように設定した。Thomas testは、-15°以上を強陽性、-15°から大腿接地不可を陽性、大腿接地可を陰性とした。またOber testに至っては股関節内転0°以下を強陽性、0°から床接地不可までを陽性、接地可を陰性とした。
【結果】SLRの平均は右64.1±13.5°・左62.5±13.9°、大腿直筋伸張テストの平均は右128.3±19.7°・左127.4±20.4°であった。Thomas testは強陽性が右13肢・左15肢、陽性が右39肢・左38肢、陰性が右8肢・左7肢であった。Ober testは、強陽性が両側33肢、陽性が右23肢・左25肢、陰性が右4肢・左2肢であった。以上のようにThomas test陽性率は右86.7%・左88.3%、Ober test陽性率は右93.3%・左96.7%と特にtightnessを認めた。
【考察】Kajalaらは、青少年のスポーツ選手では急激な成長に伴い股関節屈筋群のtightnessが増強し、腰椎から股関節にかけて伸展が制限されると報告している。一般に分離症発生に関与する要因として、腰椎の伸展と回旋力の反復が言われており、今回我々は股関節周囲筋群のtightnessについて自験例を基に検討した。スポーツ動作では低重心での構えから体幹の伸展や回旋運動が、またrunningではopen kinetic chainでの股関節運動が多く行われる。結果の通り股関節前面筋であるIP・TFLが特に柔軟性の低下を示した。骨盤のコントロールをする股関節周囲筋のtightnessにより腰椎前彎を増強した条件にて体幹の回旋運動が加わることで、椎弓の関節突起間部にストレスが集中し発症すると考えられた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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