理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 844
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骨・関節系理学療法
立位後屈動作時に腰痛を呈する症例の腰部アライメントについて
健常群と後屈時腰痛群との比較
*鈴木 貞興大野 範夫滝沢 邦弘石田 勝也筒井 廣明
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抄録
【目的】後屈時の腰痛に対する運動療法は、腰部の過度な伸展を防止することが要点とされる。臨床において上記とは反対に、腰部伸展の獲得が腰痛を軽減させることがある。後屈時腰痛症例の腰部アライメントをX線学的に評価し・後屈時の腰部アライメント変化について検討したので報告する。
【対象と方法】対象は、後屈時腰痛を主訴に当院整形外科を受診した症例の内、神経学的脱落所見を有する者、動きと腰痛発生の関連が不明確なものを除いた、男性24名である。年齢は平均29±16歳である。内訳は第5腰椎分離症7例、腰椎椎間板内障10例、腰椎椎間板ヘルニア1例、腰部脊柱管狭窄症2例、腰痛症4例である(以下、症例群)。立位腰椎側面動態撮影像から、自然立位、後屈位の2肢位に関し1)腰椎前弯角(第1腰椎椎体上縁と第5腰椎椎体上縁の成す角、以下、前弯角)、2)仙骨角(Ferguson Angle)、3)L5S1角(第5腰椎椎体上縁と第1仙椎椎体上縁の成す角)を計測し、2肢位間の角度変化から、腰椎前弯、仙骨傾斜、L5S1のアライメントの変化した方向を確認した。腰部に愁訴のない健常成人男性13名(メディカルチェックを受けるために当院を受診し、その診断のために、上記の撮影を受けた者、年齢27.5±2.9歳)を対照群とし、上記と同様の調査を行った。対照群、症例群ともに、後屈時に生じた腰部アライメントの変化を定性的に評価し、比較検討を行った。
【結果】後屈時に生じた腰部アライメントの変化 1)前弯角:対照群、症例群ともに全例、前弯が増大した。2)仙骨角:対照群では4名が増大(仙骨前傾)、9名で減少(仙骨後傾)した。症例群では1名が増大、23名で減少した。対照群と比べ、症例群では仙骨が後傾する者が多かった(χ2検定フィッシャーの直接確立法にて、p < 0.05)。3)L5S1角:対照群では全例が増大(伸展していた)、症例群では19例が増大(伸展)、5例で減少(屈曲)していた。4)症例群において、L1L5とL5S1がともに増大していた19例では、L1L5のアライメント変化に比べ、L5S1の変化が小さい者が多かった(χ2検定、p < 0.05)。
【考察】後屈動作における腰部アライメントの変化について調査した。対照群では後屈動作時に、腰椎(L1L5間)は、全例伸展位をとっていた。仙骨傾斜は前傾位・後傾位の双方が認められた。症例群では、仙骨は後傾位をとるものが多く、L5S1間でアライメント変化が起こっている者は少なかった。後屈時痛を有する症例において、L5S1の伸展運動が起こりにくい場合もあることが確認できた。後屈時痛の原因となるメカニカルストレスは局所の過度な伸展ばかりでなく、伸展の阻害も、そのひとつとして考えられた。
【まとめ】以上より、運動療法の立案に際し、局所の過度な伸展の防止と、伸展運動の獲得、両方の視点を持つことの必要性が示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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