理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 880
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骨・関節系理学療法
血友病性足関節症に対する装具療法の検討
*平田 和彦木村 浩彰日域 育子皿田 和宏雲野 康紀
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抄録
【はじめに】血友病は関節内に出血を起こし滑膜炎を生じる。そして滑膜から産出される種々のサイトカインによる刺激や運動による機械的刺激の結果、関節軟骨は変性し、関節の破壊に至る。さらに関節の破壊が関節内出血を生じる悪循環を形成し、慢性の関節症へと進行する。近年、関節内出血を予防する目的で血友病性関節症に対して欠乏因子の予防的補充療法が行われているが、特に血友病重症例において関節内出血を繰り返す症例がみられる。これに対して、我々は足関節を制動し関節内出血を減少させるため、金属支柱付き短下肢装具(AFO)を処方してきた。今回、装具療法による効果を足関節のX線学的所見を用いて検討した。
【目的】血友病性足関節症患者のAFOの効果を検討する。
【対象】1993年~2003年8月までの期間(経過観察期間:1年~10年2カ月、平均4年4カ月)に当部で血友病性足関節症に対してAFOを処方した10名17関節(初診時年齢:5~27歳、平均10.9歳)を対象とした。
【方法】足関節のX線学的所見の評価にはPatterssonらの方法を採用した。評価項目としては、骨粗鬆症、骨端核の拡大、不規則な軟骨下骨表面、関節裂隙の狭小化、軟骨下骨嚢胞の形成、関節端の不整、関節面の不一致、関節変形(角張っている、変位)の8項目を点数化し、関節症変化最大13点、正常0点で経時的に評価した。
【結果】初診時平均スコアは6.9点。最終評価時平均は7.8点であった。17関節中9関節(53%)でスコアの増加(範囲:1-7点、平均2.4点)、7関節で維持(41%)、関節で減少(4点)が見られた。スコアの増加は9関節中8関節(89%)で6~12歳の学童期に起こっていた。15歳以上又は長期的(6年以上)かつ頻回(1回/年以上)にフォローを行った例では、スコアが維持又は減少する傾向が見られた。骨粗鬆症は、17関節中2関節(12%)でみられた。
【考察】幼児期から学童期は体重と活動性の増加により関節出血が頻発して、予防的補充療法を行っていても、関節症のスコアが増加するといわれる。特に重症の関節症患者において関節症は進行し、スコアも増加する。今回の症例のほとんどが初期評価時より重症の関節症であったが、学童期以降の患者のスコアが比較的維持出来たことは、装具療法の有効性を示すと考える。
さらに、今回の結果では血友病性関節症のX線学的所見の特徴である骨粗鬆症を有する例が少なかった。装具により足関節の支持性が向上し、十分な体重負荷が可能となったため、骨粗鬆症が予防できたと推察される。
【結語】装具療法は、関節出血を繰り返す患者や骨粗鬆症に対して有用であると思われる。
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© 2004 日本理学療法士協会
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