理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 941
会議情報

骨・関節系理学療法
膝関節最終伸展域における膝関節回旋について
膝関節不安定性例との比較
*関 誠日野 邦彦隈 久雄青木 主税
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】膝関節は、膝関節周囲の筋群の動的支持機構、十字靭帯・側副靭帯・内外半月板等の静的支持機構が巧みに協調して関節の運動が誘導され、安定性が制御されている。特に静的支持機構である固有靭帯および関節包靭帯が損傷し機能不全に陥ると、機能障害もたらすことが少なくない。そこで、今回は三次元的に客観的評価ができ、かつ人体に侵襲のない三次元動作解析装置を用いて、大腿に対する下腿の相対的回旋角度を解析した。
【対象・方法】対象は、男性2名・女性8名(平均年齢20.5±1.58)膝関節を対象とした。膝関節に傷害の経験がない男性3肢・女性14肢(平均年齢20.5±1.58:以下健常者)。膝関節に既往があり、膝関節に不安定性がある男性1肢・女性2肢(平均年齢20.0±0.0:以下既往者)とした。なお、2名が前方不安定性、外反不安定性と1名が外反不安定性であった。
方法は三次元動作解析装置(Peak 社Peak Motus7.0)を使用した。骨と皮膚のずれをなくす為、骨の隆起に合致させ装具を作成した。大腿骨側は膝蓋骨を考慮し外側が大腿外側上顆骨の隆起に合わせ、内側は大腿内側上顆に合わせ別々に装具を製作しマジックベルトで固定した。動作は、Open kinetic chainとして、端坐位にて膝関節を屈曲位から完全伸展させ、再び屈曲位に戻す動作を行わせた。Closed kinetic chainとして、立位にてhalf squatを行わせた。大腿骨外側上顆と大腿骨内側上顆を結ぶ線と脛骨内側顆と脛骨外側顆を結ぶ線のなす角を膝関節回旋角とし、健常者と既往者の比較検討を行った。
【結果】Open kinetic chain時、健常者は開始時の膝関節屈曲50度が平均11.57±2.47度、完全伸展する時の回旋角は6.16±3.55度になり、終了時の膝関節屈曲50度が12.31±3.03度であった。既往者は、開始時の膝関節屈曲50度が平均5.35±1.19度、完全伸展する時の回旋角は9.95±4.02度になり、終了時の膝関節屈曲50度が6.40±3.42度であった。Closed kinetic chain時、健常者は開始時の膝関節屈曲0°が平均7.28±3.33度、膝関節屈曲80度時の回旋角は13.8±2.81度であり、終了時の膝関節屈曲0度が7.45±3.36度であった。
既往者は開始時の膝関節屈曲0度が平均13.84±6.68度、膝関節屈曲80度時の回旋角は11.69±4.35度であり、終了時の膝関節屈曲0度が14.1±7.10度であった。ともに、健常者と既往者を対応がないt検定を用い危険率0.01にて大きな差があった。
【考察】健常者の膝関節回旋角度は膝関節屈曲域から伸展に運動する際は、脛骨が外旋し、膝関節完全伸展位から屈曲する運動では脛骨が内旋する結果となり、一般的に言われているscrew-home movementと同様になった。しかし、今回の既往者に関しては膝関節屈曲域から伸展に運動する際は、脛骨が内旋し、膝関節完全伸展位から屈曲する運動では脛骨が外旋する結果となり、膝関節の最終伸展時の回旋は前方不安定性、外反不安定性の関与があることが確認できた。
著者関連情報
© 2004 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top