農研機構研究報告
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2章 稲作における放射性セシウムの動態と吸収抑制対策
水稲によるセシウム吸収と玄米への蓄積機構
石川 淳子 羽田野 麻理
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2021 年 2021 巻 8 号 p. 83-88

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抄録

セシウムは根に局在するカリウム輸送体の一部を経由して作物体内に取り込まれるため,カリウムとセシウムの吸収は拮抗する.イネにおいては,高親和性カリウム輸送体OsHAK1 が根からのセシウム取り込みの大半を担っている.土壌カリが不足する条件下では,上記の拮抗作用に加え,根におけるOsHAK1 発現量の増加がセシウム吸収をさらに助長する可能性がある.地上部においては,出穂期以降にセシウムの動態が大きく変化し,出穂期までに葉身に蓄積されたセシウムが転流するとともに,最上位節間に最も蓄積する.地上部でのセシウム動態に関わる輸送体はまだ明らかになっていない.土壌カリが不足する条件下では,放射性セシウムの玄米への分配割合が増加する.したがって,玄米への放射性セシウム蓄積を抑制するためには「根での拮抗反応」「根の輸送体発現量」による吸収面での影響,また「可食部への分配割合」による蓄積面での影響の両面から,栽培期間中の土壌カリレベルを極端に低下させないことが極めて重要である.また,土壌特性やイネの生長等によって変化する土壌中の可給態カリウム・セシウムの動態も十分に考慮する必要がある.

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