理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 669
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内部障害系理学療法
虚血性心疾患由来の心不全患者における運動負荷応答の季節変動について
*泉 唯史野呂 陽子高橋 猛
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抄録
【はじめに】心不全は組織における血液需要に心ポンプ機能が応じられず、さまざまな症状を呈する病態である。諸症状の出現に関与する要因として身体的内的要因と環境などそれ以外の外的要因が考えられる。今回、虚血性心疾患により低左室駆出率を有する患者の運動負荷に対する心拍血圧反応を季節という外的要因との関連で検討した。
【対象】外来通院の虚血性心疾患患者のうち、運動負荷試験に基づいて運動強度を設定し、外来にてトレッドミル運動を1年以上継続できた者で左室駆出率(LVEF)50%未満の症例29名(陳旧性心筋梗塞5名、労作性狭心症24名)を対象とした。内訳は、男性26名、女性3名で、年齢は61.8±10.8歳、発症からの経過年数は6.5±1.1年であった。平均LVEFは39.5±6.6%、NYHA分類はclass I 7名、class II 13名、class III 9名であった。全例外来通院可能で、トレッドミル運動に支障となる骨関節・神経系の運動器疾患を有するものはいなかった。
【方法】症候限界性運動負荷試験により無症候性に到達し得た運動強度の80%に対応するstageを目標としてBruce protocol またはmodified Bruce protocol を用いてトレッドミル運動を行った。5分間の安静と1分間のウォーミングアップの後、3分毎に負荷を増加させていった。可能な限り同一負荷まで遂行させ、安静時、運動負荷直後、運動後6分後で心拍数、血圧を記録した。連続する12ヶ月間のデータを収集し、3月から3ヶ月毎に季節を区分した。各季節間の差の検定にはpaired t-test を、またLVEFとの相関度はPeasonの相関係数を用いて算出し、いずれも5%を有意水準と設定した。
【結果】体重、安静時心拍数、安静時収縮期および拡張期血圧において季節間の有意差は認められなかった。運動直後の拡張期血圧は、春季が他の季節に対して有意な高値を示した(p<0.05)。LVEFと心拍血管反応において、各季節の心拍数および収縮期血圧との相関は認められなかったが、冬季における安静時と運動直後の拡張期血圧の差に有意な相関(r=0.38, p<0.05)が認められた。
【考察】佐々木ら(1998)は心不全増悪に及ぼす因子として水分・塩分の過剰摂取や過労、感染などを抽出している。一方、血圧の季節変動に関する金沢ら(1994)の報告では年齢による影響が大きいとしている。本研究では、低LVEFを有する場合、安静時の心拍数や血圧の季節変動は認められないものの、とりわけ拡張期血圧の冬季および春季の有意な反応が認められた。冬季のみならず、春季も冬季間の生活様式や活動様式、活動量などによる心血管変調の影響を強く受けるものと考えられ、心収縮能とともに末梢血管抵抗に何らかの季節変動要因を有することが示唆された。
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© 2004 日本理学療法士協会
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