理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 670
会議情報

内部障害系理学療法
虚血性心疾患患者の復職状況と職業性ストレスについて
*米澤 隆介松永 篤彦高橋 由美酒井 勇紀神谷 健太郎齊藤 正和坂本 純子岩松 秀樹永尾 久美子小倉 彩小倉 太一笠原 酉介増田 卓
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】生産年齢期にある虚血性心疾患(以下IHD)患者にとって、社会的地位の回復や経済的安定などの観点から復職は最も重要な目標である。先行研究ではIHD患者の7割が復職したと報告されている。一方、IHD患者の75%が退院後も身体への不安を有していると報告されており、心臓リハビリテーションにおいて、復職後も身体的および心理的状態をモニターし、その結果に基づいた指導をおこなっていくことが患者の安心やQOLの向上に結びつくと考えられる。本研究では65歳未満のIHD患者を対象に、復職状況および職場におけるストレスとその要因について調査した。
【方法】北里大学病院心臓リハビリテーション室で心臓リハビリテーションを経験した65歳未満のIHD患者59名に対して職業に関するアンケート調査を実施し、返答の得られた33名(男性30名、女性3名、平均年齢58.8±6.4歳)を対象とした。測定項目は復職の有無、時期、職種、職業性ストレスとした。職業性ストレスの評価には職業性ストレス簡易調査票(下光ら,2000)を用いた。調査票の質問内容は仕事のストレッサー(量的労働負荷、質的労働負荷、身体的労働負荷、コントロール、技術の活用、対人問題、職場環境、仕事の適性、働きがい:全17項目)、心理的ストレス反応(不安、怒り、疲労、抑うつ、活気:全18項目)、身体的ストレス反応(身体愁訴:11項目)、修飾要因(社会的支援:9項目、満足度:2項目)から構成される。回答は「低い/少ない:5点、やや低い/少ない:4点、普通:3点、やや高い/多い:2点、高い/多い:1点」の5段階とし、4点以上を問題なしと判断した。
【結果】復職し仕事を継続していたものは33名中24名であった。また、入院から復職までの期間は平均68.8±59.3日であった。職種は社長・管理職9名、自営業12名、パート3名であった。ストレス評価の各項目で問題なしと判断された人数の割合は量的労働負荷63%、質的労働負荷25%、身体的労働負荷13%、コントロール88%、技術の活用25%、対人問題25%、職場環境50%、仕事の適性13%、働きがい25%、不安0%、怒り25%、疲労25%、抑うつ38%、活気50%、身体愁訴25%、社会的支援46%、満足度38%であった。
【考察】本研究において量的および質的な労働負荷、すなわち、仕事内容そのものに対する負担感よりも、身体的な労働負荷を仕事のストレッサーとして自覚している傾向がみられた。一方、ストレス反応として特に不安の訴えが多く、復職後も自己の身体に対して自信が持てない患者が多く存在する可能性が示唆された。また職業因子に関して、職業性ストレスに大きな影響を及ぼすとされるコントロールや職場環境、社会的支援などの訴えは比較的少なく、心疾患罹患が復職後も不安を惹起し、健康感に影響している可能性が示唆された。
著者関連情報
© 2004 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top