理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 475
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物理療法
温度刺激による皮膚温回復過程の検討
*宇都宮 雅博吉崎 邦夫遠藤 敏裕黒岩 千晴田邊 素子藤原 孝之関根 徹
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抄録
【目的】外気温の変化による反応として,自律神経反応により表在血管拡張や収縮が起き,皮膚温の変動が起こることは一般的に知られている.臨床においても自律神経障害を併発した患者に遭遇することは多い.そこで今回、健常者に対し温度外乱刺激を加えた後に皮膚温の変化を観察し,自律神経反応の簡便な臨床的評価を開発する目的で,寒冷刺激と温熱刺激を加えた後の皮膚温変化を観察し,一定の傾向が得られたのでここに報告する.
【方法】対象は,研究の主旨を説明し同意が得られた健常者で下肢に整形外科的既往のない者18名,年齢21.9歳(18~35歳),下腿周径35.3±2.1cmを,無作為に6名ずつ3つのグループに分け,コントロール群,冷却群,加温群とした.計測室の環境は可及的に一定とした.計測部位は,下腿最大周径部の中央より外側に4cm,2cm間隔にマークして平均温度を,放射温度計(日本シンテック社製THI-700)を用い計測した.表在温度の測定には、安静臥位にて皮膚温計測後,物理的刺激として,冷却群は噴射型冷却刺激装置(伊藤超短波社製Cryo 5)を用いて-30度で10分間,下腿後面を移動冷却法にて冷却した.加温群は,温熱刺激装置(にっせい社製フィットアンポ)を用い,加温方法として本体外カバーをつけた状態で表面温度41.0度,20分間,下腿後面を持続加温した.各対象者に物理的刺激を加えた後,安静臥位にて終了直後から計測を開始し5分間おきに上記部位を30分間計測した.
【結果】全グループの開始前の平均皮膚温は29.0±1.5度であった.各群の皮膚温回復曲線は個体差が少なく推移した,冷却群では,冷却直後に13.0±1.6度,5分後に23.8±1.0度,15分後に26.1±0.6度,30分後に27.3±0.5度の変化を示した.加温群は,加温直後に37.3±1.2度,5分後に34.8±0.4度,15分後に33.9±0.6度,30分後に32.7±0.9度の変化を示した.両群において5分間で著明な回復を示したが,30分間経過した後にも施行前の温度までの回復には至らなかった.コントロール群においては30分間を通して有意な温度変化は認められなかった.
【考察】研究の結果に限局すれば,健常者における温度刺激による皮膚温回復過程は,冷却・温熱に関わらず,比較的個体間変動が少なく一定の傾向が得られた.また研究デザインも簡便な方法であり,臨床における自律神経反応の評価法として有効であることが示唆された.さらに30分間経過の後も初期温度に回復していないことから,何らかの自律神経反応の関与が推測された.今後,さらにデータを蓄積するとともに,中枢疾患患者や自律神経障害患者のデータを収集し比較検討したい.
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© 2004 日本理学療法士協会
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