理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 474
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物理療法
温熱刺激による培養細胞の三次元様増殖
*井上 茂樹平上 二九三
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抄録
【目的】温熱療法は生体組織の反応により効果が検討されてきたが近年では、培養細胞に与えた温熱刺激の効果も数多く報告されている。この温熱刺激の適用は、設定温度と処理時間の温熱量で示され、培養細胞の増殖能力を高める最適な温熱量を検討することが重要となっている。我々は、骨折治療で骨欠損部に補充する人工骨(Hydroxyapatite;以下HA)を用いて培養細胞と混合培養し、適量の電磁場や超音波刺激などを与えるとHAの周りに三次元様増殖の形成が促進されることを見出している。電磁場や超音波刺激などには、適用量があることが判明していることから今回、温熱刺激による温熱量の違いについて検討したので報告する。
【対象と方法】線維芽細胞としては、マウス線維芽細胞(C3H10T1/2細胞)を使用した。HA顆粒は、実験前に100個づつ試験管に入れ、オートクレーブで30分間滅菌を施した。温熱刺激装置は、温浴槽(Yamato;Water Bath Shaker Personal 2)を使用した。フラスコ一杯に増殖したマウス線維芽細胞をトリプシンで剥がし、同時にHA顆粒100個を加えて、設定温度が44°Cで処理時間を10分間と20分間として温浴槽で処理した。その後に、炭酸ガス培養器にて培養を続けた。温熱処理による三次元様増殖の観察は、培養1週間目から継時的に位相差顕微鏡を用いて倍率40倍で行い、10週間観察した。細胞がHAの周りを300μm以上の幅で囲んだ細胞群が出現したものを三次元様増殖として、すべてのHAについて観察してカウントし、さらに写真撮影を行った。三次元様増殖形成の割合は、HA100個の内、その周囲に三次元様増殖がいくつあるかを数えて算出した。統計処理は独立した測定を3回行い、有意差の検定は一元配置分散分析を行い危険率5%をもって有意差とした。
【結果と考察】実験開始後3週間目には三次元様増殖は認められないが、4週間目ですべての群において三次元様増殖が観察された。三次元様増殖の形成率は各群ともに8週間目でピークに達し、その後に形成率は減少を示した。実験開始後8週間目の三次元様増殖形成率は、10分間処理群が27.7±4.7%、20分間処理群は17.3±3.2%であった。その結果、非処理対照群は8.3±1.5%であったことから、20分間処理群は非処理対照群の2.1倍誘導されているに過ぎなかった。しかし、10分間処理群は非処理対照群の3.3倍と高い誘導率となり、非処理対照群に比較して有意差が認められた(p<0.05)。温熱量の違いにより形成率に差が見られたことから、三次元様増殖をパラメーターとすることで温熱刺激の最適量を提示できる可能性が示唆された。本研究の結果は、特にHAを用いた骨折治療などに役立つ知見と考えた。
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© 2004 日本理学療法士協会
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