理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 590
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物理療法
対側肢の循環動態に及ぼす超短波照射の影響
*黒岩 千晴烏野 大藤原 孝之遠藤 敏裕諸角 一記千賀 富士敏山本 巌
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抄録
【目 的】温熱療法は,組織温度の上昇を引き起こし,組織血流を増加させると考えられている.本研究の目的は,温熱療法を実施した部位と対側同部位における循環動態を観察し,温熱療法が循環機能に与える生理学的作用を明らかにすることである.循環動態の評価には近赤外線分光法を用いた.近赤外線分光法で測定される総ヘモグロビン(total-Hb)は,深部組織内の血液量を反映する.
【方 法】実験の同意を得た下肢に障害既往のない健常成人男性15名を対象とした.被検者は,年齢24-37歳,身長168-185.5cm,体重53-88kg,体脂肪率は右足8.1-27.7%,左足7.9-26.2%であった.測定肢位は腹臥位とし,近赤外線分光器(浜松ホトニクス社製,NIRO300)のプローブを左右の腓腹筋内側頭筋腹中央の皮膚上に取り付けた.温熱療法として超短波治療器(伊藤超短波社製,SW-180)を用いて,コンデンサー(Cond)法とコイル(Coil)法で連続モード80Wにて10分間右下腿後面上部に照射した.導子下の皮膚表面温度(ST)を放射温度計(タスコジャパン社製,THI-700L)を用いて測定した.照射前(T1),照射中(T2),照射後(T3)の各10分間の3区間を解析の対象とした.
【結 果】total-Hb値は区間毎の積分値,またSTは区間平均値を算出した.左下腿において,Cond法とCoil法の両方法でT1に比べてT2,T3で,total-Hbの積分値が増加した(p<0.01).右下腿において,両方法で時間経過に伴いtotal-Hbの積分値は増加した(p<0.01).Cond法においてtotal-Hbの積分値は,T2,T3で左右差が認められたが(p<0.01),Coil法では左右差が認められなかった.右STは,両方法でT1に比べT2,T3で上昇した(p<0.01).右STと左右下腿のtotal-Hbの積分値間でのPearson相関係数は左0.50,右0.36であった(p<0.01).STはT2,T3でCond法に比べてCoil法で高値を示した(p<0.01).
【考 察】右下腿に超短波療法を実施した結果,左右の下腿で血液量が増加することが明らかになった.右下腿では,照射後にも血液量が増大したが,左下腿では,照射中での血液量が維持された結果となった.Coil法では導子下にエネルギーが集中することでSTが高くなったと考えられる.照射前よりも高い温度でSTが維持され,左下腿の血液量でも同様の変動を示した.本実験結果に限局すれば,超短波照射によるST上昇と血液量の増大が自律神経に作用し,対側同部位の循環動態をも促進することが示唆された.このことより,ギプス固定や創傷などで直接照射できない場合に,対側同部位への超短波照射により,循環動態を緩やかに促進できることが示唆された.
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© 2004 日本理学療法士協会
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