理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 421
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理学療法基礎系
廃用性萎縮筋の引っ張り特性と組織学的特性
―ラットによる後肢懸垂モデルと後肢懸垂に関節固定を組み合わせたモデルを用いて―
*高氏 修平菊池 真青木 光広乾 公美
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抄録
【はじめに】廃用症候群の予防・改善の手段としてリハビリテーション医学は重要な役割を担っている。なかでも廃用性筋萎縮は盛んに研究が行われている分野の一つであり、理学療法士が臨床で扱う機会も多い。本研究は萎縮筋の特性を解明することにより、廃用性筋萎縮に対する理学療法の効果検証や新たな治療法の開発に繋げることを目的としている。本研究では筋の特徴の一つである弾性要素に着目し、ラットを用いた後肢懸垂モデル及び後肢懸垂に関節固定を組み合わせたモデルにより2種類の萎縮筋を作製し、受動的伸張時の引っ張り特性及び組織学的特性を検討した。
【方法】対象にはWistar系雄ラット11週齢30匹を用いた。ラットを対照群、後肢懸垂群(以下懸垂群)、後肢懸垂+関節固定群(以下懸垂固定群)の3群(各n=10)に分け、対照群は自由飼育、懸垂群は後肢懸垂、懸垂固定群には後肢懸垂に加え、足関節を最大底屈位で固定して2週間飼育した。各群の半数を引っ張り特性、残りの半数を組織学的特性の検討に用いた。引っ張り特性の検討として、麻酔下でヒラメ筋を剖出し、デジタルノギスで最大底屈位及び背屈位での筋長を測定し、脛骨近位端及び踵骨をつけたままヒラメ筋を摘出した。脛骨近位端及び踵骨をそれぞれKirschner鋼線でジグに固定し、最大底屈位で保持した。20cm/minの速度で末梢側を筋が破断するまで牽引し、その時の引っ張り張力と長さ変化を記録した。得られたデータから力―変形量曲線を作成し、stiffness、破断張力、張力が生じ始める筋長、破断時筋長を測定し、3群間で比較した。また、組織学的特性の検討として、麻酔下で摘出したヒラメ筋を凍結固定し、厚さ10μmの連続横断切片を作製し、ミオシンATPase染色を施し、筋線維タイプ構成比率及びタイプごとの筋線維横断面積を測定した。
【結果】引っ張り特性として、stiffnessは対照群>懸垂群・懸垂固定群となり、萎縮筋は加える力に対する筋長の変化量が大きい、すなわち伸びやすいという結果になった。破断張力は対照群>懸垂群・懸垂固定群となり、萎縮筋は対照群に比べて弱い力で破断した。また、張力が生じ始める筋長は対照群・懸垂群>懸垂固定群、破断時筋長は対照群>懸垂固定群となり、懸垂固定群は対照群に比べて牽引の早い段階で張力が生じ始め、破断も早かった。また組織学的特性として、懸垂群・懸垂固定群はタイプII線維の占める割合が大きく、タイプI・II線維ともに横断面積が減少していた。
【考察】引っ張り特性として、萎縮筋は伸張に対する抵抗が弱く、容易に伸張し、破断するのが早いといえる。これは筋線維横断面積の減少によるものだと考える。また、懸垂固定群では早期に張力が発生したことから、背屈運動時の初期からヒラメ筋の受動的張力が増加し、背屈に対する抵抗になっていると考えられる。これは結合組織の相対量の増加やコラーゲン分子内・分子間架橋結合の増加が関係していると考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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