理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1084
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理学療法基礎系
松葉杖部分荷重歩行がその後の全荷重での静止立位の重心位置に及ぼす影響
―両松葉杖歩行と片松葉杖歩行の比較―
*太田 圭大熊 仁美榊原 加奈加古 誠人竹井 仁
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抄録
【はじめに】臨床では、1/2部分荷重(以下PWB)以上の荷重許可では片松葉杖が処方されることが多い。両松葉杖歩行(Double Clutches Gait:以下DCG)は左右の体重心の移動が対称的だが、片松葉杖歩行(Single Clutch Gate:以下SCG)は左右の体重心の移動が少なく、免荷肢の立脚期に体重心が非免荷側に位置している傾向がある。このことは部分荷重から全荷重歩行に移行した際に、DCGから移行した場合とSCGから移行した場合とで、重心がより正中に戻るのに差を生じる可能性を示唆する。そこで今回、DCGとSCGによる2/3PWB歩行を比較し、歩行前後の静止立位の重心位置にどのような変化があるかを検討したので報告する。
【方法】被験者は実験の承諾を得た健常成人14名(男7名、女7名)。平均年齢は21.6(21-22)歳、身長と体重の平均値±標準偏差は、163.9±6.9cm、55.0±6.7kg。免荷肢は利き手の対側下肢とした。DCGまたはSCGでの 2/3PWB歩行は、2分間の休憩を挟み5分間を計6回行った。その後、全荷重歩行(以下FWB歩行)を10分間実施した。A)2/3PWB歩行前、B)2/3PWB歩行直後、C)FWB歩行10分後の順で、重心動揺解析システム(GS-11、アニマ社製)を用い、左右方向の動揺平均中心変位を測定した。それぞれの歩容をデジタルビデオカメラで撮影した。統計処理にはSPSS(ver.12)を用い、分散分析と多重比較検定およびt検定を実施し、有意水準を5%未満とした。
【結果】ABCで左右方向の動揺平均中心変位に性差を認めなかったため、全被験者にて解析した。その結果、左右方向の動揺平均中心変位[cm]の平均値は、DCGでは0.4、0.5、0.2、SCGでは0.2、0.7、0.3であった。DCGとSCGを比較すると、Bには有意差を認めたが、Cには有意差を認めなかった。多重比較の結果、DCG・SCGともB-C間に有意差を認め、SCGではA-B間にも有意差を認めた。A-C間を比較すると、DCGには有意傾向を認めたが、SCGには有意差を認めなかった。
【考察】Bの重心位置は、SCGでは非免荷側へ有意に偏位したが、DCGでは有意な変化を認めなかった。これは、DCGに比較しSCGの免荷肢立脚相では、体幹の非免荷側への側屈が大きく、免荷肢への重心移動が少ないためだと考える。CではDCG・SCGともにBに比較し重心位置が正中へ戻った。しかしながら、短時間のSCG後に重心偏位が認められたことから、臨床では、SCG期間の延長に伴い、筋のアンバランスやボディイメージにゆがみが生じ、より重心偏位が大きくなることが予測される。ゆえに、SCGの処方に際しては、杖を外した後に生じるこれらの影響を考慮することが重要と考える。
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© 2005 日本理学療法士協会
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