抄録
Physarum のミオシンII重鎖に対するモノクローナル抗体と交差反応する175 kDa成分がテッポウユリ花粉管に存在することが示されていた(Kohno 1991)。しかしユリ花粉管からその成分を単離してアミノ酸配列を検討した結果、クラスリンであることが分かった。タバコ培養細胞BY-2にもこの成分に対する抗体と反応する175 kDa成分が存在し、遺伝子を解析した結果クラスリンであることが分かった。クラスリンは細胞板形成において余分な膜成分の除去に関与している可能性が示唆されている。更に細胞板形成におけるクラスリンの役割を解析するために、タバコ培養細胞BY-2の細胞周期を同調し、各細胞周期におけるクラスリンの免疫染色を行った。クラスリンは分裂中期では紡錘体の極周辺に局在し、後期から徐々に細胞板の周辺に集積しはじめ、終期になると細胞板に局在するようになる。またクラスリンの三量体化に重要であるC末端部分を導入した形質転換細胞株を作成した。この株の細胞周期を同調したところ、分裂期の細胞の約半分が多核になっており、そのような細胞では細胞板とフラグモプラスト微小管の配向に異常が見られた。以上のことからクラスリンが細胞板形成に重要な役割を担っていることが明らかになった。