理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1127
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理学療法基礎系
運動介入による高齢者のバランス機能の変化と身体機能との関係
―介入直後および1年後の追跡調査の結果から―
*新井 武志大渕 修一稲葉 康子柴 喜崇佐竹 恵治二見 俊郎佐藤 春彦
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抄録
【目的】
高齢者の転倒を予防する取組みとして、運動介入によってバランス機能を向上させようとする取組みが多くなされている。しかし、運動介入の多くは3ヶ月以内の短期的なものが多く、その後の長期的なバランス機能の変化を追跡調査している例は少ない。また、対象が高齢者の場合は身体機能のばらつきが大きいにもかかわらず、対象者の身体機能レベルと介入効果の表れ方や持続効果との関係は明らかにはなっていない。本研究では高負荷筋力トレーニングとバランストレーニングなどを含んだ包括的高齢者運動トレーニング(以下CGT)を用いた運動介入による高齢者のバランス機能改善効果と1年後の持続効果を調査し検討した。さらに、介入前後の身体機能レベルが介入直後および1年後のバランス機能の変化量に影響しているのか検討した。
【方法】
CGTに参加した地域在住高齢者125名(男42名、女83名、平均年齢73.5±5.7歳)を対象とし、対象者には調査の概要を説明の上書面にて同意を得た。バランス機能の指標として開眼および閉眼の片足立ち時間、ファンクショナルリーチ(以下FR)、Timed Up and Go(以下TUG)を測定した。その他の身体機能評価として、握力、膝伸展筋力、長座位体前屈、最大歩行速度を測定した。評価は運動介入前、介入直後(3ヶ月後)、1年後の3時点で行い、その変化を一元配置の分散分析と多重比較を用いて検討した。また、バランス機能の変化量と介入前後の身体機能との関係はPearsonの相関係数を用いて評価した。いずれも有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
分散分析および多重比較の結果、いずれのバランス機能評価項目も運動介入の前後で有意に改善していた(P<.01)。FRは1年後も介入前に比べ有意に高値に保たれていた(P<.01)。開眼片足立ちは、介入直後から1年後に有意に低下した(P<.05)。介入による閉眼片足立ちの変化量は介入前の幾つかの身体機能と正の相関を示し(r=0.2~0.3,P<.05)、FRの変化量は幾つかの身体機能と負の相関を示した(r=-0.2~-0.4,P<.05)。介入後の身体機能と1年後のバランスの変化量では、最大歩行速度と開眼片足立ちの変化量が負の相関を示した(r=-0.4,P<.05)。
【考察】
高齢者のバランス機能は筋力トレーニングとバランストレーニングを組み合わせた運動介入によって改善し、1年間は持続されることがわかった。また、閉眼片足立ちは身体機能の高い者のほうが大きく改善し、逆にFRは身体機能の低い者のほうが大きく改善する傾向を示し、種目によって初期の身体機能と介入効果の関係には違いがあることがわかった。また、介入後の身体機能が高い者ほど介入後1年間の変化量は小さくなる傾向が示された。これらの結果は、高齢者を対象にバランス機能向上を目的とした運動介入を行う際の指針となる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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