理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 260
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神経系理学療法
運動発達外来における理学療法士介入の意義の検討
―運動発達への養育者の理解度と養育環境から―
*岡崎 里南榎 勇人野村 卓生西上 智彦石田 健司谷 俊一
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キーワード: 運動発達外来, 養育者, 環境
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抄録
【目的】当院では,早産児を中心とした児の神経学的後遺症の早期発見・治療を目的に理学療法介入を実施し,家庭での運動指導を含め運動発達外来として歩行獲得までフォローを行っている.神経系・筋骨格系の未熟な新生児・乳児においては,環境や養育者から受ける影響は大きく,今回養育者から養育環境・運動発達の理解度・関わり方を調査し理学療法士介入の意義を検討した.
【対象と方法】対象は,1996~2002年に運動発達外来を終了した児(84名)の養育者(72世帯)で,そのうち住所不明を除いた66世帯である.調査は郵送によるアンケート調査(20項目)にて行なった.質問内容は1)養育環境(4項目),2)運動発達の理解(3項目),3)理学療法士の関わり方及び理学療法(PT)の理解(7項目),4)家庭での運動実施状況(5項目),5)運動発達外来の印象(1項目)である.アンケートに関しては当調査の主旨を説明した紙面を同封し,質問紙のみを回収した.調査内容から,養育環境や養育者の運動発達理解度による運動実施時間の差異について,ウィルコクソン符号付順位和検定を用い分析を行った.
【結果】アンケート回収率は48.5%(32/66)であった.1)対象児の66%(22名)に兄弟があり,81%(26名)は祖父母らからの育児協力を得ていた.2)運動発達理解の質問で全問正解者は34%(11名)であった.3)理学療法士への満足度は満足が88%(28名),理学療法士の言動により不安を感じた養育者は9%(3名)で,その内訳は質問に対する回答内容や専門用語の使用であった.4)家庭での運動実施時間は平均19±31分(0~180分),運動実施者は母親が78%(25名),実施度は10点満点中平均6.4±2.4(0~10点)であった.十分に実施できなかった理由は「時間がなかった」が41%(13名)であった.兄弟の有無と育児協力者の有無における運動実施時間を検討した結果,兄弟がいる場合あるいは育児協力者がいる場合において有意に運動実施時間が長かった(p<0.01, p<0.001).さらに,運動発達特性の理解度による運動実施時間については,理解度が高い保護者において有意に運動実施時間が長かった(p<0.05).
【考察】当院で行う家庭での運動指導は、運動発達の促進を通じて児の運動特性を養育者に理解させ,母子(父子)相互作用を促す一手段であると考えている.児に関わる養育者は圧倒的母親が多く,児が第2子以降であれば子どもの取り扱いに慣れており手技的に運動を取り入れやすいことや,育児協力者がいることで育児への心理的・時間的負担を少なくし運動面に注意を向ける余裕ができると推察した.理学療法士として養育者にわかりやすく運動発達特性の理解を促すことでよりよい養育・療育環境を提供できると考え,養育環境を加味した上での指導へとつなげていく.
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© 2005 日本理学療法士協会
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