抄録
【はじめに】近年、低出生体重児に対しポジショニングを導入する施設が増えており、その効果も多数報告されている。我々は、第38回日本理学療法学術大会においてポジショニングとブラゼルトン新生児行動評価(以下NBAS)の光および音刺激に対する慣れ現象について検討し報告した。今回、慣れ現象の項目の触覚刺激についても検討し、若干の知見を得たので報告する。
【対象と方法】対象は、保育器管理となった低出生体重児10例(男児6例、女児4例、平均出生体重1032±285g、平均在胎29.0±2.0週)である。方法は、NBASの慣れ現象の項目のうち、光に対する漸減反応とガラガラの音に対する漸減反応および触覚刺激に対する漸減反応、呼吸数、心拍数、SpO2を一人の児に対して、良肢位と不良肢位でそれぞれ別の日に評価し、比較検討した。ただし、本来、触覚刺激は、ピンを踵に当てる刺激で行うが、易刺激性のある低出生体重児を対象としているため、変法として手指による足底への刺激を行った。なお統計学的分析は、慣れ現象についてはWilcoxonの符号付順位検定、呼吸数、心拍数、SpO2についてはt-検定を用い危険率0.05以下を統計学的有意とした。
【結果】NBASの慣れ現象について、光に対する漸減反応では、中央値で良肢位が9点、不良肢位が7点、ガラガラの音に対する漸減反応でも良肢位が8点、不良肢位が6点とどちらも良肢位のほうが有意に高い点数を示した。しかし、触覚刺激に対する漸減反応、呼吸数、心拍数、SpO2では有意差を認めなかった。
【考察】NBASには、睡眠中の侵害刺激に対する睡眠状態の維持能力、子宮外の予測不可能な刺激に対する自己防衛機能の評価として慣れ現象の項目がある。今回、ポジショニングと慣れ現象の関係について検討した結果、いわゆる屈曲姿勢を保持したポジショニングをとっている方が光と音に対する慣れ現象が起こりやすかった。これは、児にとっても睡眠中の侵害刺激に対する自己防衛がおこないやすくなっていることを示唆しており、睡眠維持のためにはポジショニングは有効であると考える。しかし、触覚刺激には有意差を認めなかった。これは、易刺激性の強い低出生体重児には触覚刺激は、良好なポジショニングをとっていてもストレスを受けやすく、光や音の刺激とは異なる反応を示す可能性があり、minimal handlingを心がける必要があると考えられる。
【まとめ】
1.低出生体重児に対して、良肢位、不良肢位での慣れ現象および呼吸数、心拍数、SpO2を評価した。
2.光・音刺激に対する慣れ現象については良肢位のほうが有意に起こりやすかったが、触覚刺激に対する慣れ現象では、有意差を認めなかった。
3.呼吸数、心拍数、SpO2では有意差を認めなかった。
4.ポジショニング時には、光・音刺激に比べて触覚刺激には注意する必要があると考える。