理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 272
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神経系理学療法
成人脳性麻痺者の骨強度に影響を及ぼす因子に関する検討
*渡邉 明代大畑 光司中 徹南 哲橋本 千恵子生友 尚志上田 純恵春田 大志船戸 正雄矢野 生子坪山 直生
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抄録
【はじめに】脳性麻痺者は重症度に応じた骨の脆弱性が生じ、骨折などの危険因子となることが知られている。これまで脳性麻痺者の骨に関する研究は、二重エネルギーX線吸収法(以下DXA法)などの骨塩量測定により行われており、粗大運動能力分類システム(以下GMFCS)や年齢、性別などと相関することが明確になっている。一方、超音波骨評価装置(以下QUS)はDXA法と比較して被爆の危険性のない簡便な方法であり、高齢者の骨評価に使用されている。しかし、これまでQUSを用いて成人脳性麻痺者の骨強度を測定した報告は少ない。本研究の目的はQUSを用いて成人脳性麻痺者の骨強度を測定し、骨強度に影響を及ぼす因子を明確にすることである。
【対象と方法】本研究は京都大学医学部倫理委員会の承認を受け、保護者の文書による同意を得て行った。重症心身障害児施設に入所する19才以上60才以下の脳性麻痺者30名(男性18名、女性12名、平均年齢38.9±10.6才)を対象とし、GMFCSにより分類した。また年齢をA群(18歳以上30歳未満)、B群(30歳以上40歳未満)、C群(40歳以上50歳未満)、D群(50歳以上60歳未満)の4群に分類した。さらに起居動作として寝返り、起き上がり動作の自立度を調査し、自立群と要介助群に分けた。骨強度測定には、両踵骨を測定部位とし、超音波骨評価装置(アロカ社製AOS-100NM)を用いて、超音波伝播速度(以下SOS)、音響的骨評価値(以下OSI)を求め、骨強度の評価指標として使用した。統計処理として、一元配置分散分析、対応のないt検定を用いた。
【結果と考察】各対象者のOSIを同年齢の健常者の標準値と比較すると、平均71.7±9.2%となった。これをGMFCSのレベル別でみるとレベル3(7名)で80.3±6.1%、レベル4(18名)で69.7±7.7%、レベル5(5名)で66.7±10.9%であった。SOS(p<0.01)、OSI(p<0.001)の値は、GMFCSのレベルが低いほど有意に低値を示した。加齢の影響に関しては、GMFCSのレベル4のみでみると、年齢が高いほどOSIは有意に低下していた(p<0.01)。ADLについては自立群が要介助群よりSOS、OSIは有意に高い値を示した(p<0.05)。本研究の結果より、成人脳性麻痺者の骨強度は健常者の6割から8割に著しく低下していた。またGMFCSのレベル、加齢に影響を受けており、Tasdemir(2001)、Henderson(2002)、King(2003)らの報告と一致した。さらに起居動作の自立度によっても影響を受けることが明らかとなった。
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© 2005 日本理学療法士協会
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