理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 299
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神経系理学療法
脳卒中片麻痺患者における立脚初期の歩行分析(第2報)
*長野 毅松崎 哲治
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抄録
【目的】我々は昨年の本学会で脳卒中片麻痺(CVA)患者の立脚初期の制動能力について報告した。その中で、屋内歩行群は屋外歩行群に比べ、体幹伸展位で骨盤が後方回旋し、重心が後方へ残っている為、股関節伸展モーメントが発揮しづらいことと膝関節伸展モーメントの発生が低下していることで重心の前方移動が制限されているのではないかと思われた。今回、筋活動の様式(関節パワー)を分析し、前回の結果も踏まえ若干の知見を得たので報告する。
【対象】歩行可能なCVA患者16名を、屋外歩行群8名(A群、平均年齢58.6±13.3歳、左麻痺5名、右麻痺3名)と屋内歩行群8名(B群、平均年齢59.2±18.5歳、左麻痺7名、右麻痺1名)の2群に分別した。
【方法】計測機器は、ANIMA社製3次元動作解析装置LocusMA6250(カメラ4台)を用い5m間の自由歩行を裸足・杖なしの条件で計測した。計測時間・サンプリング周波数・マーカー付着部は前回と同様とした。分析パラメーターは、麻痺側及び非麻痺側踵接地から立脚中期までの期間で床反力後方成分が最大値の時の股・膝・足関節まわりのパワーをそれぞれ算出した。なお、統計学的処理は、等分散の検定後に母平均の差の検定を行った。
【結果】麻痺側と非麻痺側で、膝関節のパワーは非麻痺側が有意(p<0.05)に増大し、非麻痺側では負のパワー(伸張性収縮)、麻痺側は正のパワー(短縮性収縮)を示す傾向があった。股・足関節では有意差はなかったが、股関節は麻痺側・非麻痺側とも短縮性収縮と伸張性収縮を示す者が混在し、足関節は麻痺側・非麻痺側とも対象者全てが伸張性収縮を示した。A群とB群の麻痺側下肢では、足関節のパワーはA群が有意に(p<0.01)に増大していた(対象者全て伸張性収縮)。股・膝関節とも有意差はなかったが、股関節は、A群は短縮性と伸張性収縮が混在し、B群では伸張性収縮を示し、膝関節は、両群とも短縮性収縮を示す傾向があった。
【考察】立脚初期の衝撃吸収には足関節背屈筋(踵接地時)と膝関節伸展筋の伸張性収縮が関与し、股関節伸展筋の短縮性収縮により、重心を上前方へ移動させている。これまでの結果を総合すると、CVA患者は膝関節伸展筋の伸張性収縮力(パワー)が低下している為、前方への重心移動が制限され、骨盤を前方へ回旋させることができず、股関節伸展モーメントが発揮しづらいのではないかと考えられた。屋内歩行群は膝関節伸展筋の伸張性収縮が困難なことに加え、足関節底屈筋の伸張性収縮力(パワー)も低下している為、麻痺側下肢への体重移動が行えず、骨盤を後方回旋することにより膝関節を伸展させ、体重を支持しているのではないかと考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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