社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
投稿論文
自動車保有が生活保護率に及ぼす影響の計量分析
加藤 穂高
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 18 巻 1 号 p. 104-114

詳細
抄録

 公共交通機関の撤退・縮小が進む中、地方部においては必需品としての自家用車の役割が高まっている。しかし、生活保護の利用にあたって自動車の保有は原則的に認められていない。このことが地方部における生活保護の利用抑制につながっている可能性が指摘されているが、これまでその因果関係に着目した実証研究はほとんど存在しない。そこで本稿では、自動車保有率が地域の生活保護率に与える影響について、操作変数法および固定効果モデルを用いて計量的に分析を行った。分析の結果、固定効果を含まないモデルにおいては、自動車保有率の上昇が生活保護率の低下と有意な負の関係を持つことが確認され、自動車保有が地域の保護率を抑制している可能性が示唆された。このことは、全国一律に適用されている自動車保有制限が、地方部における生活保護利用の障壁となっている可能性を示唆しており、制度目的に照らした運用の再検討が求められる。 福島大学

著者関連情報
© 社会政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top