理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 880
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神経系理学療法
脳卒中片麻痺患者の立位姿勢に及ぼす視覚的影響について
*鈴木 三央土井 智里村上 亮浅野 直子小川 由美子小林 佐江子原 百実大橋 知行三上 章允
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キーワード: 姿勢制御, 視知覚, 脳卒中
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抄録
【目的】
ヒトおける静的な姿勢制御には、固有受容器からの情報だけでなく、視覚からの情報も大きな役割を持つ。のぬ卒中患者でも立位姿勢保持の障害が見られるが、その評価やリハビリテーションにおいても視覚条件の検討が必要である。そこで今回我々は、ビデオを提示した動画が、脳卒中患者の立位姿勢にどのように影響を与えるかを検討した。

【方法】
被検者は、室内歩行以上の移動能力があり、著名な高次脳機能のない脳卒中患者5名(平均年齢56±13才)健常者3名(平均年齢48±7才)である。データを取る際に、被検者に対して、事前に研究内容を説明し、承諾を得てから実施した。方法は、重心動揺計(アニマG5500)の上に立位姿勢を保持してもらい、被検者の眼前60cm前方にスクリーンを設置しビデオ映像をスクリ-ンの背後から投影した。ビデオ映像は開始時静止画、歩行、走行、終了時静止画の4つの課題であり各々20秒間である。歩行・走行のビデオは前方10mの距離から被検者の眼前へ歩く(走る)のが録画されている。被検者には心理的不案を軽減するため事前にビデオ内容を確認してもらった。下肢の体性感覚の評価として、踵の2点識別及び下肢の複合感覚(股・膝・足関節の位置覚)として鈴木の考案した方法(理学療法のとらえかたPART2,文光堂,150-155,2003)を用いた。視覚(運動視)の評価としては、椅子座位にてコンピューターディスプレイ上に映し出されたコヒーレント・モーションの方向を弁別する課題を用いた。この課題では、ランダム・ドットの一部を一定方向に、残りをランダムな方向に動かし、一定方向に動くドットの方向を回答させた。一定方向に動くドットの比率を100%から20%に変化させ、75%以上の正答率で方向弁別できる最低のコヒーレンスを求めた。

【結果とまとめ】
下肢の感覚は2点識別(健常者群1.5cm、患者群・麻痺側3±1.0、非麻痺側2.4±1.5cm)、複合感覚は、健常者群1.8±0.9、患者群3.2±1.4cmであった。重心動揺計の揺れの外周面積は、健常者群は開始時静止画0.4±0.2、歩行0.3±0.2、走行0.3±0.1、終了時静止画 0.3±0.2cmであり、患者群では開始時静止画0.8±0.4、歩行1.1±1.0、走行1.6±0.7、終了時静止画 0.7±0.4cmであった。健常者に比べ患者群は静止画、歩行、走行の画像のスピードの変化に伴って大きく揺れるのが見られた。コヒーレント・モーションの評価では、健常者は3名全員が20%条件を弁別できた。患者群では3名が20%条件で、1名は30%条件と1名は40%条件であった。今回報告した方法により脳卒中患者の立位において、下肢の体性感覚の低下、運動視機能の低下のみならず、これらの統合機能の一つである物の動きに対応する姿勢制御についても障害が示された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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