薬史学雑誌
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明治時代の山梨県における近代薬学史-病院薬局,病院薬剤師を中心に-
五位野 政彦
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2024 年 59 巻 2 号 p. 152-167

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抄録
序論:本研究では,明治時代の山梨県における近代病院薬剤制度の導入過程を調査した. 方法:次の資料を使用した.「薬学雑誌」,「薬剤誌」ほか国立国会図書館デジタルライブラリー資料,東京薬科大学図書館収蔵資料,筆者個人蔵資料 結果・考察:山梨県では明治維新の際に,欧州由来の近代医学に基づく病院を設立した.この施設の薬局では医師が調剤を行った.1886(明治 19)年に蓮井宗吉がはじめて薬剤師として薬局での業務を開始した.明治30 年代までは県病院薬局と模範薬局とのつながりがあり,模範薬局関係者が薬局長を務めた.県の財政上の問題などから県立病院の運営が混乱し,1908(明治 41)年に中小路重五郎が薬局長となるまでは薬局長の短期間での交代が続いた.県内の衛生化学業務は県立病院に附属となった衛生試験所で行われたが,民間病院内に新たに併設された衛生試験所がそれにとってかわった.山梨県には後に甲府市長となる薬剤師成島治平がおり,県薬剤師会長を長く務めた.そのため病院の薬剤師は県内の近代薬学導入のリーダーとはなりえなかった.
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