理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 131
会議情報

骨・関節系理学療法
変形性膝関節症を有する高齢者を対象とした運動介入による無作為化比較研究
―平衡機能とROMに対する介入効果―
*諸角 一記種田 行男中村 信義佐藤 慎一郎塩澤 伸一郎三浦 久実子北畠 義典西 朗夫板倉 正弥杉本 淳藤原 孝之烏野 大
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抄録
【目的】
 本研究の目的は変形性膝関節症を有する高齢者に対する運動療法の効果を無作為化比較試験(RCT)によって検討することである.なお,本研究では平衡機能と膝関節可動域(ROM)に対する介入効果について報告する.
【方法】
 対象者は東京都武蔵野市在住の在宅自立高齢者88名(男性12名:平均年齢77.7±5.4歳,女性76名:平均年齢73.2±5.3歳)で,膝痛の度合い(WOMACスコアー)により層化したブロックランダム割付で介入群(I群)と対照群(C群)を各44名に分類した.対象者には研究の説明を行い,参加に同意する自筆による署名を得,日本疫学会倫理審査委員会に申請し実施の承認を得た.I群には3ヶ月間,1回あたり約90分,全8回の運動指導(膝関節周囲のストレッチや筋力強化運動)を行なった.測定は平衡機能計(パテラ社製,stabilometer S510)を用いて,開眼・ロンベルグ姿勢で静的(30秒間の重心動揺軌跡長,外周面積)と動的(クロステスト,前後左右各10秒間保持,前後は足長に対するA-P%,左右は足幅に対するM-L%を算出)重心動揺を測定した.また,患側膝関節の屈伸角度とSLRは他動的にデジタル角度計(光ベルコム社製,ダイアングルDA-11)を用いて測定した.本研究の解析対象者は介入脱落者および介入前後での測定に欠席した者を除く,I群34名(男性5名,女性29名)とC群38名(男性2名,女性36名)であった.解析にはSPSS for Win Ver12.0を用いて,ベースラインでの群間の差をstudents t検定,および介入前後の変化を反復測定分散分析(時点数2×群数2)により比較した.
【結果】
 ベースライン時における動揺軌跡長はI群61.8±18.6cm,C群57.6±13.4cm,および動揺面積はI群3.4±1.6cm2,C群3.2±1.4 cm2であった.また,A-P%はI群34.4±9.7%,C群38.7±8.2%,およびM-L% はI群27.8±11.3%,C群33.0±9.2%であった.いずれの項目にも群間に差はみられなかった.反復測定分散分析の結果,これらの項目には交互作用は認められなかった.
 ベースライン時における伸展ROMはI群-7.9±7.2度,C群-4.9±4.8度,屈曲ROMはI群110.3±16.4度,C群116.3±15.8度,およびSLRはI群68±8.6度,C群69.1±8度であった.いずれの項目にも群間に差はみられなかった.反復測定分散分析の結果,屈曲(p<0.01)と伸展(p<0.05)ROMに交互作用が認められた.
【考察】
 本研究の結果,伸展および屈曲の関節可動域に明らかな改善が認められたことから,介入期間中に実施した膝関節周囲のストレッチや筋力強化運動の有用性が示唆された.平衡機能に関しては今後さらに検討をふかめる.
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© 2005 日本理学療法士協会
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