理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 316
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骨・関節系理学療法
自転車エルゴメーターによる低負荷・高回転のトレーニングがスプリント能力におよぼす影響
―膝前十字靭帯再建術後の女子競技選手による検討―
*吉田 昌平守田 武志舌 正史沼倉 たまき小出 裕美子中尾 聡志原 邦夫
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抄録
【目的】今回我々は、膝前十字靭帯(ACL)再建術後の競技選手に対して、スプリント能力の再獲得のために、自転車エルゴメーターを用いた低負荷・高回転のトレーニングを行わせ、その有効性を検討したので報告する。
【対象】対象は、半腱様筋腱(ST)4重折を用いてACL再建術を施行した女子バスケットボール選手8名(年齢:17歳、身長:167cm、体重:59kg)であった。
【方法】ACL再建術後4ヵ月および競技復帰時期の術後6ヵ月時に自転車エルゴメーター(パワーマックスVII)を用いた10秒間の全力ペダリングを体重の2.5、5、7.5%負荷で行わせた。各負荷で得られたピークパワー(PP)とピーク回転数(P-rpm)を評価し、中村らの方法を用い、負荷―PP曲線より最大無酸素パワー(MAnP)を求めた。また、スプリント能力は、30m走を5本行わせその平均時間を評価した。トレーニング期間は術後4ヵ月より術後6ヵ月までの2ヵ月間とした。トレーニング頻度は、週に2回とし体重の2.5%負荷を用いて10秒間の全力ペダリングを30秒の休息を挟んで8本行わせた。
【結果】術後4ヵ月時の各負荷で得られたPPおよびP-rpmは2.5%で256watt、179rpm、5%で444watt、157rpm、7.5%で576watt、136rpm、MAnPは661wattであった。また、スプリント能力は5.02秒であった。トレーニング後の術後6ヵ月時の各負荷で得られたPPおよびP-rpmは2.5%で275watt、190rpm、5%で479watt、166rpm、7.5%で605watt、141rpmで、MAnPは667wattであった。また、スプリント能力は4.87秒であった。有意な変化が認められた評価項目は2.5%負荷でのP-rpm(p<.05)およびスプリント能力(p<.05)のみで他の評価項目では著変がなかった。
【考察】近年、ACL再建術の移植腱にSTを用いた術式が広く行われ、STを用いたACL再建術の問題点として深屈曲位での膝屈曲筋力の低下などが報告されている。また、スプリント能力にはハムストリングスの重要性が知られており、STを用いたACL再建術後にスプリント能力が低下することが危惧される。そのため、STを用いたACL再建術後のリハビリテーションでは、スプリント能力の再獲得が重要となることが考えられる。今回我々が行った自転車エルゴメーターを用いた低負荷・高回転の全力ペダリングは、MAnPに変化が認められずに、低負荷での回転数とスプリント能力のみ有意な変化が認められた。このことから、本トレーニングは、実際の走動作におけるピッチの改善につながりスプリント能力が改善したと考えられる。
【結語】自転車エルゴメーターを用いた低負荷・高回転のトレーニングによりスプリント能力が改善する可能性が示唆された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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