理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 339
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骨・関節系理学療法
義足の適合性とQOLの向上を考慮した高齢切断者への義足処方
*深谷 大輔石川 公久清水 朋枝江口 清大河内 進
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キーワード: 高齢者, 義足, QOL
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抄録
【はじめに】近年、末梢循環障害による高齢切断者が増加している。このうち、歩行獲得の可能性が低いと判断された場合、義足が処方されないケースも少なくない。今回、実用歩行獲得の観点からは適応外と考えられた高齢切断者2症例に対して義足を作製し、良好な結果が得られたので以下に報告する。
【症例1】76歳、男性。H16.5.19ASOによる右大腿切断術実施、6.16PT開始、7.17自宅退院。7.29外来にて大腿義足装着練習開始、9.2自宅での義足使用開始。特記事項として糖尿病。義足適応の阻害因子として、健側も含めた筋力低下、易疲労性、抑うつ状態。好条件として義足に対する意欲、上肢機能良好、退院前にPick up walker片脚歩行獲得。義足はインナーを使用した四辺形ソケットとし、骨盤ベルトにて懸垂した。膝継手には短軸ロック膝を使用した。
【症例2】79歳、男性。H16.5.12左大腿骨骨幹部転移性腫瘍・左大腿動脈閉塞による左股離断術実施、5.17PT開始、6.19自宅退院。8.31外来にて股義足装着練習開始、9.17自宅での義足使用開始。特記事項として左肺癌術後。義足適応の阻害因子として切断高位、心肺機能低下、抑うつ状態。好条件として義足に対する意欲、健側機能・理解力良好、退院前にPick up walker片脚歩行獲得。義足はカナダ式股義足とし、固定式股継手、膝継手には荷重ブレーキ膝を使用した。
【結果】いずれの症例もPick up walkerによる自宅内歩行自立に至った。また、入院時は抑うつ的であったものが義足作製により改善が見られ、QOLの向上につながったと推察する。
【考察】末梢循環障害による高齢切断者では、切断術前後の臥床期間による廃用症候、ソケットの適合・装着に関する困難性、循環器系に対するriskやphysical fitnessの低さ、大腿切断以上では義足操作が困難で歩行練習に長期を要すことなどが義足処方の阻害要因とされており、一般的に今回のような症例は義足適応外になると推察する。一方、大峯らは血管原性切断者では実用義足歩行に固執するのではなく、義足装着による心理的効果やreconditioningとして捉えることも必要であると述べており、今回の2症例のように義足作製によって抑うつ状態に改善が見られQOLの向上につながったことは、歩行獲得以外の新たな適応目的となり得ることが示唆されたと考える。また、今回の症例は固定式の継手を使用し立脚期の安定性を図るとともに、義足の軽量化、骨盤での懸垂により装着・操作が比較的容易になったこと、義足装着練習では心肺機能に配慮し少量頻回を心掛けたこと、および義足に対する意欲と退院前にPick up walker片脚歩行可能となるだけの身体機能を有していたことが最終的に屋内実用義足歩行の獲得に至った要因と考えられる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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