抄録
【目的】
当院における膝人工関節全置換術(以下TKA)後の目標は、階段昇降、床からの立ち上がり動作を含めたADL動作の獲得としており、膝屈曲角度は重要な因子である。その術後の可動域に影響する因子として術前角度は大きく影響するとされている。
【方法】
2002年5月から2004年3月までにTKAを行なった109症例、154膝を対象とした。平均年齢は74.1歳で、術日から退院までの期間は片側TKA施行平均33.2日、両側施行平均59.5日であった。それら対象の術前膝屈曲角度、退院時膝屈曲角度、リハビリ開始時膝屈曲角度について比較し、相関性等を検討した。又、術前の膝屈曲角度を分類し比較検討も行なった。
【結果】
術前膝屈曲角度は、119.9±16.5度で、退院時膝屈曲角度は130.9±7.4度で全体の48%で130度以上の屈曲が可能であり退院時に屈曲120度に達してない関節は、わずかに8関節0.5%のみであった。
術前角度と退院時角度では相関係数0.38とやや相関性があるものの、リハ開始時角度と退院時角度の方が0.57と、相関性が高くなっていた。又、術前角度の違いによる退院時角度でも、術前120度以下、125度以上共に平均的な相関性よりもやや高くなっているが、術前角度とリハ開始時角度の方が相関性は高かった。
又、退院時膝屈曲125度以下では術前角度、リハ開始時ともに相関性はなかったが、術後130度以上の群では術前角度、リハ開始時角度ともにやや相関性があった。
【考察】
当院では、術後1日目よりベッドサイドリハを開始し、ドレーン抜去後より歩行器歩行を行ない早期リハを実施している。退院時の膝屈曲角度は、術前角度よりも約10度改善し1%の危険率で有意差を得た事は、当院におけるTKAは有用と言えるのではないか。
術前角度と退院時角度より、リハ開始時角度と退院時角度との相関性が高い事から、リハ開始時の可動域獲得が重要であり、症状を見極め対応する事が術後の好成績を得ると考える。
又、術前角度の違いにより、退院時角度では有意差がなかった事から術前屈曲角度がリハ開始時に影響を与えるが、後療法をうまく実施することにより、退院時屈曲角度の好成績を得ることが可能であると言える。