抄録
【目的】
スポーツ活動中の膝関節外傷は女性に多く発生し、特にバスケットボールにおける非接触型受傷は男性の3倍であり、着地動作や方向転換などの突然の減速動作時に生じやすいと報告されている。先行研究では、基本的な動作の解析報告はあるものの、実際の競技種目に即したバスケットボール特有の動作について検討したものはない。本研究ではバスケットボール競技において多くみられる片脚着地しながらの方向転換動作(動作1)と、空中での方向転換を伴う着地動作(動作2)に着目し、動作中の軸足の筋活動及び関節角度変化について男女比較を行った。
【対象と方法】
対象は膝関節に傷害の既往がない健康な大学生(男性5名、女性5名)であった。動作1は、被験者がジャンプしてバスケットボールを受け取り、右下肢で片脚着地を行いながら左方向斜45度(サイドステップ様)と、右方向斜45度(クロスステップ様)に左下肢を着地して方向転換する動作とした。動作2は、高さ25cmの台より、空中で方向転換しながら右斜め前方45度への着地と、空中で方向転換し左斜め前方45度への着地を右片脚で行う動作とした。各動作の右下肢の筋活動と股関節および膝関節角度を測定した。被検筋は大腿直筋、内側広筋、外側広筋、ハムストリングス、腓腹筋、前脛骨筋とした。筋電位はTeleMyo2400を用いパーソナルコンピュータに取り込んだ。動作中の両側の上前腸骨棘-膝蓋骨中央を結ぶ線のなす角を股関節内外転角度とし、大転子-大腿骨外側上顆-外果を結ぶ線のなす角を膝関節屈曲角度、上前腸骨棘-膝蓋骨中央-足関節中央を結ぶ線のなす角を前額面上の膝関節内外反角度(股関節内転、内旋を含む)と規定した。2台のデジタルカメラで動作を撮影し、三次元動作解析ソフトウェア(ToMoCo-VM)を用いて解析した。統計にはt-検定とANOVAを用い、有意水準は危険率5%未満とした。
【結果】
片脚着地しながらの方向転換動作では、女性においてサイドステップ様の方向転換とクロスステップ様の方向転換動作の股関節内外転角度に有意差が認められた。男女間では有意差は認められなかったものの、女性のほうが角度変化が大きい傾向にあった。
空中での方向転換を伴う着地動作では、動作中の膝関節屈曲角度の経時的変化は、各方向ともに男女間に有意差は認められなかったが、女性の膝関節屈曲角度変化は男性と比較して大きい傾向がみられた。