理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 965
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骨・関節系理学療法
ウェイトリフティング選手と一般若年者との呼吸筋力の比較
*解良 武士小椋 一也猪股 高志
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抄録
【目的】
 健常人において呼吸筋力は最大換気量にそれほど影響を与えないため,スポーツ領域でも呼吸筋力が注目されることはほとんどなかった。一方ウェイトリフティング競技を代表とするパワー系競技では体幹機能が重要であり,特に腹圧による上部体幹の支持機構は腰痛予防の観点からも注目すべきと考える。その腹圧上昇は呼息筋である腹筋群や内肋間筋と吸気筋である横隔膜などの収縮によって行われる。そのため腹圧上昇機構は呼吸筋力とも関連があると考えられるため,ウェイトリフティング選手と一般若年者の呼吸筋力とを比較し呼吸筋力と競技との関連性を検討した。
【方法】
 神奈川県内の体育系大学ウェイトリフティング部に所属する現役男子選手(W群,n=15,年齢:19.91±0.73)と特別なトレーニングをしていない一般男子大学生(N群,n=13,年齢:19.62±0.25歳)の肺機能,吸気筋力(PImax)および呼気筋力( PEmax)を比較した。統計処理は両群の比較に対応のないt検定を,各測定項目を変数としたピアソンの相関行列を求め,それぞれFisherのrのZ変換にて相関係数の有意性の検定を行った。なお全ての被験者よりインフォームド・コンセントを得た。
【結果】
 両群の比較では,ピークフローを除いた肺機能と呼吸筋力が有意にW群で高かった。各群での相関分析では,W群ではPEmaxで握力,身長およびPImaxとの間に有意に相関が認められたが,PImaxはPEmax以外に相関を示すものがなかった。競技成績は肺機能と相関が認められたが,呼吸筋力との相関は認められなかった。一方N群はPImaxと体重,PImaxとPEmaxとの間に有意な相関が認められたものの,筋力に関係する指標との相関は認められなかった。
【考察】
 一般的に呼吸筋力は他の筋力指標とはあまり関連性がないとされるが,握力や競技の性質より筋力全般の能力が優れているウェイトリフティング選手の呼吸筋力は,PImaxとPEmaxのいずれも一般男子大学生より高かった。今回の結果はウェイトリフティング競技と呼吸筋力はある程度関連性があることを示唆するものと考えられる。そのため競技成績と呼吸筋力との関連性も検討したが,有意な関係を認めることはできなかった。これはウェイトリフティングも筋力以外に技術的な要素も含んだ競技であるため,これを上回る関係がなかったためであると考えた。
【まとめ】
 呼吸筋力をウェイトリフティング選手と一般若年者で比較した。ウェイトリフティング選手の呼吸筋力は一般若年者より優れていたが,競技成績との関連は認められなかった。今後も上部体幹支持機構としての呼吸筋の関連性を,詳細に検討していくべきと思われる。
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© 2005 日本理学療法士協会
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