理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 963
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骨・関節系理学療法
内側アーチ支持テープが下肢アライメント及び垂直跳躍動作に与える影響について
*田中 初美吉本 陽二
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抄録

【目的】
 内側縦アーチが低下した状態である扁平足は、下肢アライメントに影響を及ぼし、足部や膝のスポーツ障害を生じる原因の一つとなっている。そこで今回は、テーピングにより内側縦アーチを支持することで、舟状骨降下と降下に伴う足部回内を抑制する効果を調べるとともに、内側縦アーチ支持テープの下肢アライメントに対する有効性について検討した。また、内側縦アーチ支持テープの垂直跳躍距離に及ぼす影響について、裸足とテーピングを行った場合の両群を比較した。
【対象】
 下肢に整形外科及び神経学的に疾患既往のない健常な31名(男子11名、女子20名)の両側下肢62脚を対象とした。平均年齢は20.1±2.5歳、平均身長は164.0±8.1cm、平均体重は55.3±7.8kgであった。
【方法】
 以下の3項目について裸足とテーピング施行時の両条件にて測定を行った。1.アーチ降下率:座位と片脚立位下腿30°前傾位の足部舟状骨頭高の差を座位舟状骨頭高にて除して、アーチ降下率を算出した。2.前額面上の脛骨長軸と床面とのなす角(以下、下腿傾斜角):離地および着地時の足部を一定の間隔で平行とした跳躍動作を前方からデジタルビデオカメラにて撮影を行った。その画像データをコンピューターにて処理し、着地時における膝関節最下時の静止画像から下腿傾斜角を測定した。3.垂直跳躍距離:最大努力にて測定を行った。尚、テーピングに5cm間隔でマーキングを行い、8cmまで伸張することにより、一定の張力での貼付を行った。
【結果】
 テーピングを行うことにより、アーチ降下率と跳躍着地時の下腿傾斜角は有意な減少が認められた。裸足の下腿傾斜角とテーピング後の傾斜角度の減少値の相関関係については、有意に正の相関があり、裸足での傾斜角度が大きいほど、テーピング後の傾斜角度の減少も大きいことが示された。最大垂直跳躍距離は有意な差は認められなかった。
【考察】
 足部アーチ低下による距骨下関節回内、脛骨の内側への傾斜、さらに膝関節外反という下肢荷重連鎖によるアライメントの変化は、knee-inと定義され、下肢の内側に伸張ストレス、外側に圧迫ストレスを引き起こし、様々な外傷の原因となる。今回、内側縦アーチを支持するテーピングは、足部回内を減少させ、着地時のknee-inを抑制することが確認できた。また、裸足における下腿傾斜角が大きいほどテーピング後の傾斜減少は大きく、knee-inを抑制する効果が高かったことから、内側縦アーチの降下に伴う足部回内が起こりやすい扁平足例において、内側アーチ支持テープが足部回内の抑制に有効であることが示唆された。一方で垂直跳躍距離に関しては裸足に比べ有意な変化は無く、スポーツ場面において跳躍動作のパフォーマンスを低下させずに内側縦アーチのサポートが可能であると推察された。

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© 2005 日本理学療法士協会
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