理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 969
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骨・関節系理学療法
変形性膝関節症患者におけるQOLと運動機能の関連性
―日本版変形性膝関節症患者機能評価表(JKOM)とVASにおける規定因子の違い―
*神谷 健太郎須田 久美渡辺 裕之遠原 真一辺土名 隆相川 淳藤田 護横山 一彦占部 憲
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抄録
背景と目的】JKOMは、変形性膝関節症(膝OA)患者におけるアウトカム指標として、日本理学診療医学会、日本整形外科学会、日本臨床整形外科医会が共同で開発したQOL評価指標である。JKOMはSF-36や欧米において使用されている膝OA患者のQOL評価であるWOMACとの比較からも、信頼性、妥当性が証明されている。過去に、このような信頼性・妥当性が証明された膝OAの疾患特異的な尺度が存在せず、その規定因子については明らかでない。本研究は、膝OA患者のQOL評価としてJKOMならびに疼痛のみの評価指標であるVASを用い、その規定因子の違いを検討した。
方法】対象は、“北里大学病院膝教室”に参加した女性膝OA患者28名(年齢63.7±8.0歳)である。北里大学病院膝教室の参加者は、膝の痛みを訴える地域在住高齢者であり、広報による募集に応募してきたものである。測定項目は、身長、体重、BMI、体脂肪率、除脂肪体重、ROM(膝関節伸展・屈曲)、等尺性膝関節伸展筋力、膝関節のX線撮影(医師の指示下により放射線技師が撮影)により横浜市大式膝OA重症度(grade)を測定した。また、QOL評価としてJKOMならびにVASを自己記入式にて調査した。解析方法は、単回帰分析により相関行列を作成したのち、JKOM、ならびにVASと相関の高い4因子を抽出し、ステップワイズ法による重回帰分析を行った。なお、正常値が0°である膝伸展のROMに関しては、0度との差を絶対値として算出し、解析値とした。危険率5%未満を統計学的有意水準とした。
結果】JKOMとの相関では相関係数の高い順に、膝伸展筋力:0.63、膝屈曲ROM:0.60、BMI:-0.41、OA重症度:-0.40の4因子が抽出された(それぞれP<0.05)。また、VASとの相関では、膝伸展ROM:-0.54、膝伸展筋力:0.50、BMI:0.41、膝屈曲ROM:0.39の4因子が抽出された(それぞれP<0.05)。重回帰分析の結果、JKOMにおいては膝伸展筋力ならびに膝屈曲ROMが規定因子として抽出された(R2=0.54, P<0.05)。また、VASを目的変数とした場合、膝伸展ROMのみが有意な因子となった(R2=0.31, P<0.05)。
考察・まとめ】JKOMは膝の痛み、日常生活の状態、普段の活動状態、健康状態などの要素から構成されている。重回帰分析において膝伸展筋力ならびに膝屈曲ROMが抽出されたことは、これらの因子が起居、移動動作など日常生活活動と深く関連していることが影響していると考えられる。また、痛みの評価指標であるVASとの関連では、膝伸展ROMが主要な規定因子であり、JKOMとは異なる構造を示すことが示唆された。本研究の対象者は、X線による評価で78%がgradeIIを呈し重症度が均一であったにもかかわらず、JKOMが筋力やROMなどリハビリテーションにおける主要な介入要素と強く関連していたことは、今後、本指標が理学療法介入における主要なアウトカムとなりうることを示唆している。
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© 2005 日本理学療法士協会
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