理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1004
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骨・関節系理学療法
TKA後の大腿四頭筋に電気刺激を加えた刺激群と非刺激群の比較
*竹嶋 葉子池田 里美松永 広枝熊谷 早希子藤野 奈美小玉 弘之
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抄録
【はじめに】
 人工膝関節全置換術(以下TKA)後の理学療法において、セッティングやSLRなどの筋力増強トレーニングは早期から行われる。しかし、積極的な筋力強化と全荷重での歩行が可能となるまでには2、3週の期間が必要であり、廃用性筋萎縮の発生が予測される。近年、筋萎縮予防に対する電気刺激療法の有効性が報告されてきている。今回、TKA後に大腿四頭筋に電気刺激を加えた群(刺激群)と電気刺激を加えなかった群(非刺激群)の術後経過を比較したので報告する。
【対象と方法】
 研究の目的と方法について説明し同意を得たTKA後の女性12例を対象とし、術後に大腿四頭筋に対して電気刺激を加える刺激群6例(平均年齢72歳、平均体重54.2kg、OA4例、RA2例)、電気刺激を加えない非刺激群6例(平均年齢72.2歳、平均体重56.3kg、OA6例)に分けた。両群とも通常の理学療法をプロトコールに従って実施した。
 電気刺激は術後3日目から開始し、刺激装置にはDynamid DM2500(ミナト医科学)を用い、刺激周波数は20Hz、強度は疼痛許容範囲内で最大とし、1日30分間行った。刺激期間は3カ月間、頻度は入院中週6回、退院後週2回とした。
 また、自主筋力トレーニングとして、両群とも術後3日目からセッティングとSLRを開始し、術後3週目からは重錘を利用した等張性トレーニングを行った。
【評価】
 術前、術後1、2、3カ月に大腿四頭筋(大腿直筋、内側広筋、外側広筋)のCT値と等尺性最大筋力を計測した。CT値は組織の性質を判別するもので、測定にはPRATICO FR(日立メディコ社製)を用い、筋の質的な増加を評価した。CT撮影は当院の診療放射線技師が行った。等尺性最大筋力の測定にはmusculator GT-30(OG技研社製)を用い、膝関節60度屈曲位で測定した。
 これらの術前の値を100%として正規化し、各群6例の平均値を算出した。両群の各評価時期における差について対応のないt検定を行った。
【結果】
 術後1カ月のCT値において、大腿直筋で刺激群が平均107.5%に増加したのに対し、非刺激群は97%に減少し有意差が認められた(p<0.01)。また、内側広筋においては有意差が認められなかったものの、刺激群は107.7%、非刺激群は80.6%で刺激群に増加傾向がみられた(p<0.10)。外側広筋は有意差がみられなかった。
 等尺性最大筋力は、術後1ヶ月で刺激群は153.7%、非刺激群は78.1%と刺激群に増加傾向がみられたが有意差は認められなかった。しかし、刺激群は6人中4人が増加し、非刺激群で増加したのは2人であった。
【考察】
 術後1カ月のCT値の結果から、刺激群の大腿直筋と内側広筋に筋の質的な増加が認められた。また、筋力においても刺激群で増加した者が多く、TKA後の筋萎縮予防や筋力増強に電気刺激が有効であることが示唆された。今回は両群とも症例が6例と少なかったため、今後更に症例を増やし、刺激条件の検討を重ねる必要があると考えられた。
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© 2005 日本理学療法士協会
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